下痢、腹痛を幼少期より繰り返している。平成5年、同症状に対して精査。潰瘍性大腸炎の疑い、過敏性腸症候群、うつの診断を受け、胃腸薬、炎症を抑える薬、うつの薬で治療を行っていた。現在、服用薬はない。今回、生理食塩水菌液とウルトラファインバブル水菌液による糞便移植を行う。生理食塩水菌液の方から実施。一時的に軟便から下痢症状になる。次に移植用機能水菌液を3回実施。便は固形に変わり、糞便移植をする前より症状の改善をみる。
患者様: | 30代男性 |
主治医: | ルークス芦屋クリニック |
移植担当医療機関: | ルークス芦屋クリニック |
病名: | 過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎の疑い、うつ病 |
発症時: | 不詳(幼少時より) |
移植目的: | 下痢 |
主訴: | 下痢、腹痛、胃腸の調子が良くない、うつ症状、昼間の眠気 |
服薬中の薬: | なし |
既往歴: | 潰瘍性大腸炎疑い、過敏性腸症候群、うつ |
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | 平成5年頃、既往歴(潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、うつ)の症状について大学病院、クリニックにて診断を受けて、胃腸薬、炎症を抑える薬、うつの薬で治療を行っていた。現在、服用薬はない。 家族歴:胆管がん、胃を1/2摘出(父) |
移植期間: | 2018年1月17日〜2019年2月24日 |
移植回数: | 生理食塩水1回+ウルトラファインバブル水3回 |
移植初回〜移植終了までの変化: |
【1回目移植後問診:生理食塩水】 以前に大腸ファイバーで炎症を認めるも潰瘍性大腸炎確定に至らず。過敏性腸症候群の診断とされたこともある。また、二次的な抑うつ症状も過去に認める。 【2回目移植時問診:ウルトラファインバブル水】 【3回目移植時問診:ウルトラファインバブル水】 【4回目問診】 |
移植終了後の変化: |
下痢は解消を認める。 |
移植評価: | 症状の中程度の改善 |
移植前後フローラバランス検査の変化: | [移植前]2018年1月実施 腸内フローラは、細やかすぎる気遣いや、神経質な部分をお持ちの方であることを示唆しております。 欧米型の食事スタイルを思わせるバランスが見受けられますが、食事以外にサプリメントや投薬等によっても同様のバランスを示すことがあります。 [移植中]2018年1月実施 [移植中]2018年2月実施 [移植中]2018年2月実施 [移植後]2018年3月実施 |
血液検査の変化: | データなし |
POMS2スコア変化: | 抑うつ、緊張、活気に改善がみられる。 |
<腸内フローラバランス 移植前後比較データ>
本人の体感(アンケートより): |
返信なし |
有害事象の有無: |
なし |
移植総評・考察: |
過敏性腸症候群、および潰瘍性大腸炎(疑い)に対して行った生理食塩水によりFMTでは移植後より下痢〜軟便傾向を認めたが、その後3回行ったウルトラファインバブル水によるFMTでは徐々に固形便へと変化をした。また抑うつ傾向もPOMSにて改善が認められた。 1回のみの生理食塩水によるFMTでは下痢〜軟便との因果関係に関しては不明であるが、全4回を通して症状は改善傾向にある。 FMTにはIBS等の症状改善効果があると考えられる。 |
日付:2018年10月18日
第2回 一般財団腸内フローラ移植臨床研究会 総会 症例発表
発表者:ルークス芦屋クリニック 城谷昌彦先生 ※症例2
以上