腸内フローラ移植(便移植)を受けられる、国内唯一の学術的研究会です。臨床医と臨床検査技師が届ける世界最高水準の安全と効果を目指して。
一般財団法人 腸内フローラ移植臨床研究会

新型コロナウイルスに関する当研究会便バンクJapanbiomeの取り組み

 一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会およびJapanbiome(腸内フローラ移植ドナーバンク)では、腸内フローラ移植を希望される患者様に安心して移植を受けていただけるような運営に取り組んでおります。
 米国政府機関FDAが推奨する、クロストリジウム・ディフィシル感染症多剤耐性時への適用をはじめ、潰瘍性大腸炎などの各種腸疾患、アレルギー、自閉症スペクトラムなどへの腸内フローラ移植の有用性を認める学術的報告が世界中で次々と発表され、腸内フローラ移植を希望される患者様が増加しております。

 新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた取り組みが世界的に実施される中、Japanbiomeでは全ドナーからの便の提供を一時停止し、移植菌液に使用する便は2019年12月31日までに提供を受けたもののみに限って移植菌液を製造しておりました。
 この度、2019年末をもって停止しておりましたドナー便の提供・移植菌液への使用を再開する運びとなりました。これにあたり、ドナー選定基準や移植菌液の取り扱いについて運営体制の見直しを下記のとおり行いました。

 腸内フローラ移植(FMT)による新型コロナウイルス感染に関する報告は現時点でありませんが、感染リスクを判断するには時間をかけて慎重に判断する必要があります。
 米国最大の便バンクOpenbiomeでは新型コロナウイルス感染拡大への対策を採りながら、必要な患者さんに移植を提供できるような体制を整えています。

 Japanbiomeでは、国際専門家会議による「新型コロナウイルス感染拡大下におけるFMTドナーのスクリーニングに関する指針」の基準に従い、さらにOpenbiomeの対応を参考にしながら、米国や欧州各国と本邦の情勢の違い、生活習慣の違いなどを踏まえて独自の基準を再設定いたしました。

(参考:COVID-19 ― OpenBiome https://www.openbiome.org/covid19
Screening of faecal microbiota transplant donors during the COVID-19 outbreak: suggestions for urgent updates from an international expert panel – The Lancet Gastroenterology & Hepatology https://www.thelancet.com/journals/langas/article/PIIS2468-1253(20)30082-0/fulltext

【便提供再開ドナーの制限と新たな基準】

 Japanbiomeでは、2020年6月から7月にかけて全ドナーに対して新型コロナウイルスの抗体検査を実施し、IgG、IgMともに陰性であることを確認しました。しかしながら、健康な人、感染者の濃厚接触者ではない人に対する検査実施の体制はまだまだ整っておらず、また血液の頻回採取によるドナーの負担も考慮すると、頻回の検査実施は現実的ではありません。

 そこでこれまでの基準に加えてさらに下記の基準を設け、基準を満たすドナーのみに便の提供依頼を再開することにいたしました。

  • 都道府県をまたぐ旅行は事前にバンクに報告すること。
  • バンク内の処置室で便を提供すること。または便を指定された方法で梱包し、直接バンクに持参できること。
  • 自身、または濃厚接触者に新型コロナウイルス感染者がいないこと。
  • 体調不良の回復後14日間は便の提供をしないこと、またそこから遡って14日前までに提供した便を破棄する必要があるため、バンクに必ず連絡すること。

※体調不良とは以下の状態を指します。
37.5℃以上の発熱、嘔吐、下痢、その他風邪の諸症状

 この他ドナーと社員の安全確保のため、バンク内への立ち入りを一部制限し、出勤する人数を減らすなどの措置を引き続き行います。

Q,2019年までに提供された便を使用してもらうことはできますか?
→新型コロナウイルス感染拡大以前・またはキットによる感染有無の確認時点以前に提供された便を希望する場合、移植担当医にその旨をお知らせください。当面の間は過去のドナー便の在庫がございます。その場合、在庫のあるドナー便で対応することになるため、ドナーの選択肢が狭まってしまうことをご了承ください。

Q,もしドナーが感染していた場合、便にウイルスが含まれている可能性や、移植によって抗原や抗体が移行する可能性はまったくありませんか?
→感染者の便からウイルスが検出されたという報告があります。しかしながら、腸内フローラ移植(FMT)による感染に関してはその安全性に関して議論するにはデータが足りないのが現状です。
そこでJapanbiomeでは、国際専門家会議による「新型コロナウイルス感染拡大下におけるFMTドナーのスクリーニングに関する指針」を参考に、ドナーの旅行や体調に関する報告義務を厳格化することにより安全性を可能な限り高めることに努めております。

 Japanbiomeでは、患者様、提携医療機関の皆様、ドナーの皆様、社員の安全確保を第一に新型コロナウイルスの動向を引き続き注意深く観察しながら、必要な患者様に腸内フローラ移植を提供できるよう努めてまいります。

 本ページに記載の事項についてご質問がある場合には、当研究会または提携医療機関にお問合せください。

【その他参考URL】
DonorFAQ ― OpenBiome https://www.openbiome.org/donorfaq
Evidence for Gastrointestinal Infection of SARS-CoV-2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7130181/
COVID-19: Gastrointestinal Manifestations and Potential Fecal–Oral Transmission https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7130192/
How to Protect Yourself & Others | CDC https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/prevention.html?CDC_AA_refVal=https%3A%2F%2Fwww.cdc.gov%2Fcoronavirus%2F2019-ncov%2Fprepare%2Fprevention.html
Screening of faecal microbiota transplant donors during the COVID-19 outbreak: suggestions for urgent updates from an international expert panel – The Lancet Gastroenterology & Hepatology https://www.thelancet.com/journals/langas/article/PIIS2468-1253(20)30082-0/fulltext
AABB’s Coronavirus Resources http://www.aabb.org/advocacy/regulatorygovernment/Pages/AABB-Coronavirus-Resources.aspx