腸内フローラ移植(便移植)を受けられる、国内唯一の学術的研究会です。臨床医と臨床検査技師が届ける世界最高水準の安全と効果を目指して。
一般財団法人 腸内フローラ移植臨床研究会

移植体験インタビュー「家族で出かけられる場所がぐんと増えました」(自閉スペクトラム症)

自閉スペクトラム症のお子様のご家族の方にお話を伺いました。
1歳代より癇癪がひどく、1歳6ヶ月健診で、言葉の遅れを指摘されたとのこと。
癇癪を起したり、ものを投げたりといった行動にお困りの中、保育園の先生から紹介されたクリニックを訪れ、移植を決意されたそうです。
移植前後の変化に、ぜひご注目ください。

【プロフィール】
4歳 男児
T君
疾患名:自閉スペクトラム症
移植回数:
2021年7月31日~9月4日 6回移植コース
2021年11月27日~2022年3月5日 追加移植3回
移植担当主治医:喜多村クリニック
喜多村クリニックの記事一覧はこちら
移植後の診断:症状の改善

Q1.腸内フローラ移植を受ける前は、どんな症状でお悩みでしたか?

気になる症状・行動はたくさんありました。まず癇癪(かんしゃく)。1日に何度も癇癪を起こし、泣きわめく時間が1回あたり40分ほども続きます。行ったことのない場所や混雑しているところへ行くとパニックになり、そこから癇癪に繋がる確率も高かったですね。

ものを投げる行為にも困っていました。保育園の先生とお話しをしていると、顔のすぐそばに息子が投げたものが飛んでくるんです。大人はもちろん、お友達をけがさせないかと心配でした。

あとは、移植の動機にもなった排便の問題。尿意をうまく伝えられないので、常にオムツをつけていました。便は、2日に1度、やや硬い便、水分が少なくひびの入った状態。水分を取らせて便の状態を改善しようにもあまり水を欲しがらないので、いろいろと工夫が必要でした。 息子本人もつらかったと思いますが、彼に振り回されて私たち親も疲れきっていました。

Q2.「移植を受けよう」と思った決め手はどのようなものでしたか?

腸内フローラ移植を教えてくれたのは、息子が通う保育園の先生でした。先生のお子さんも自閉スペクトラム症で、症状の改善を目的に移植を受けたそうです。

「うちの子どもは移植を受けて成長が加速しました。もしよければお話を聞いてみてはどうでしょう」と、喜多村クリニックさんを紹介してくださいました。

喜多村先生は、自閉症スペクトラム症かつ息子と年が近い方のデータを示しながら丁寧に説明をしてくださいました。腸内フローラ移植自体がまだ臨床研究段階で、症例の母数が少ないという点を置いても、そのデータは『可能性を信じて挑戦してみよう』と判断するのに十分なものだったんです。

息子の状態改善を望む気持ち、疲弊した私たち自身の状況も変えたいという思い、ここに数値情報が合わさって移植を決意しました。

Q3. 移植を受けてから、体にどんな変化を感じましたか?

移植を1回するごとに、息子に小さな変化が見られました。顕著だったのは『言葉』です。

これまでは自分の気持ちを言葉にできず、いつもイライラして見えました。それが「信号が青になった」「青は進む」「赤は止まる」というふうに、見たものを私たちに伝わる形で表現できるようになったのです。

これには療育園の先生も「ABA(応用行動分析)に基づく療法でもここまで情緒を安定させるのは難しいですよ」と驚いていらしたので、ああ、移植の成果かな?と。

本人にも負担がかかっていたであろう、癇癪の継続時間と頻度も激減しました。移植前はあれほど頻繁に起こっていた癇癪が、1週間に2~3回。それも1回あたり10分以内で治まるようになったんです。

パニックも滅多に出なくなり、移植前は全くダメだった人混みでも落ち着いてふるまえるように。フードコートで食事を楽しめるようにもなって、家族で出かけられる場所がぐんと増えました。

手前みそですが、私たちが息子の癇癪パターンを把握し始めたのも相乗効果になっているのかもしれません。

例えば、スケジュール表の作成。ホワイトボードに写真と文字で『金曜日は保育園。そのあと先生のところへ行く』『土曜日はおじいちゃん、おばあちゃんのお家に行く』と予定を見える化したところ、時間の概念が身に付きはじめました。

あと何回寝たら祖父母の家に行ける、といった見通しを自分で立てられるようになったことも、癇癪の改善に一役買っているはずです。

ただ、いいことばかりではありません。一番期待していた排便状況の改善は苦戦中で……。

移植によって腸内環境が整い、もともとあったリーキーガット症候群(腸に穴があいてさまざまな悪影響を体に及ぼす病気)が改善した結果だとうかがいましたが、移植前よりもかえって便が硬くなってしまったのです。

あまり水を飲まない息子に腸内フローラ移植臨床研究会さんの水素水を飲ませるのは至難の業。味付きの市販水とまぜてみたり、外出して喉が渇いたタイミングで水を差しだしてみたり、あの手この手で水を飲ませ、便の硬さを改善しようとしています。

食べ物に関しては特定の食品が息子の腸内環境には悪影響だと分かっているので、それを明記した診断書を提出した上で保育園に協力を仰いでいます。

特に野菜類はカケラが見えただけで嫌がるため、カレーやシチューなど野菜の形が見えにくくなる方法で調理。さらに下の子が美味しそうに食べていると「食べてみようかな」という気持ちになるようで、そこですかさず食べさせていますね。そして、ちゃんと飲み込んだらとにかく褒める。この繰り返しで、かなり食べられる食材は増えています。

水分は、最近では「お茶飲む。」「ヨーグルト味の飲みたい。」などと言って自分から要望し、飲む姿もみられるようになってきました。ヨーグルト味、ぶどう味、もも味などの味付きの水を何種類も用意し、水素NanoGAS®ウォーターを混ぜて飲めば抵抗なく飲むことができています。その他、お茶や100%ジュースに、水素NanoGAS®ウォーターを混ぜて飲んでも抵抗は全くありません。水分を飲むことに関しても成長がみられていると感じています。

妹の様子を見て、と申しましたが、これも移植前には考えられなかったことです。リビングなど同じ場所にいても、ただ空間を共有しているだけで一緒に遊ぼうとはしなかった。それが今は、妹の姿が見えないと「妹は?」と私たちに聞いてきますし、追いかけっこをして遊ぶようにもなりました。 自分の興味・関心ごとだけ追っていた状態から、妹や私たち家族に目を向けられるようになった表れかな、と思います。さらに最近では、保育園のお友達ともおもちゃを貸し借りして遊ぶようになっているそうで、親族から第三者へとどんどん視界が広がっているんだなあと、何とも言えない気持ちです。

最後に

今思えば、移植前の息子は人との関わり方がよく分かっていなかったのではないでしょうか。移植を機に社会性が豊かに広がり始めているので、もっと妹や友達と遊んで、「人との関わりが楽しい」という経験をたくさんしてもらいたいと願っています。

ものを投げたり、妹を押し倒したりといった問題行動がまだ残っているので、人間関係を築いていくにもその点はなくなるよう導いてあげたいところですね。

そうして社会性を身につけた先で、自分の好きなことを見つけてしっかり取り組んでほしい。それが将来の仕事になればなおよいと思っています。

息子の今のお気に入りは野鳥観察。散歩をしながら次々に鳥を見つけて指をさすので驚かされます。目指せ、鳥バージョンのさかなクン、かな。

▼フローラバランス検査結果

<症状の改善には個人差があります>