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移植体験記4「初めて病院へ行く」<自閉スペクトラム症10歳男児>

兵庫県のルークス芦屋クリニックで移植をされた自閉スペクトラム症の患者様のお母様から伺ったお話を、かわいいイラスト付きでご紹介します。第4段です。

今回お話を伺った畠中直美さんは、3人の男の子のお母様です。上のお子様が自閉スペクトラム症(=ASD)と診断されたことをきっかけに、一般社団法人チャレンジドLIFE を立ち上げられました。現在は、障がいのある無しに関わらず、心地よく活力ある日々を過ごせる社会を目指すべく、様々な活動に取り組んでこられています。

イラストは、かめさんが書いてくださいました。

初めて病院へ行く

最初の採便キットを送り、しばらくすると、「検査結果が出ましたので、息子さんと一緒に来てください」と病院から連絡が入りました。

検査結果が知りたくてワクワクする思いと共に、病院が大嫌いな長男が、病院内で落ち着いて過ごせるだろうかと不安になってきました。


どんな病院なのかな?息子は嫌がらないかな?

そんな不安な思いのまま病院から届いたカルテ記入の項目を見ました。しかし、その内容を見た時に「あ、だいじょうぶかもしれない」と思えました。

そこには長男が病院内で過ごすにあたって気をつけてほしいこと、対応してほしいことなどを書く欄がたくさんあり、病院側の心配りを感じることができました。


例えば距離感について。

長男は緊張しているときは話しかけてほしくないし、近づいてほしくない。緊張時には、いくら相手が笑顔だったとしても、近づかれることそのものが負担になるようです。

「病院に入った直後は緊張している可能性が高いので、落ち着くまでは息子に話しかけないでください」
「近付き過ぎず、少し距離をとってください」
「まずは私に話しかけてください。その時、息子が少し落ち着いていてコンタクトが取れそうだったら、私が促しますので、息子と直接やり取りをお願いします。」
などしっかり事前に伝えることができたことが、私にとっては大きな安心材料となりました。

そして病院に行く当日。 本人には「うんちを先生に見てもらっていろんなことがわかったから一緒に聞きに行こうね」と伝えて車で病院に向かいました。


長男は、機嫌よく車に乗りこみ向かったのですが、いざ車から降りて病院を目の前にすると怖くなって足がすくんでしまいました。ゆっくり時間をかけ、恐る恐る病院内に入りました。

しかし病院内に足を踏み入れた瞬間、私は驚きました。イメージしていた無機質な病院の空気はなく、待合室がとっても温かい雰囲気で、なんだかホッとしたのを覚えています。

そして、事前にお願いしていたことがしっかりと守られていて「発達障がい児の対応に慣れている病院だなあ」と安心しました。


例えば手指のアルコール消毒をするとき、直接長男には言わず私に「息子さんに消毒をお願いできますか?」とゆっくりと小さめの声で伝えてくれました。決して長男を無視しているのではなく、ちゃんと長男の様子を見つつ、にっこり寄り添いながら対応してくれる感じです。

長男は、緊張しながらも周囲の状況をよく見ています。そのため完全に無視されると、それはそれで居心地が悪くなるのですが、この場所の人たちはちゃんと自分のことを肯定的に見てくれている人たちだとしばらくすると理解した様子でした。


採便の結果を聞く前に「ゲインズファインダー」という装置を使った検査がありました。

これはモニター上に映し出される、人物の写真やくるくる動く無機質な図形イラストなどを通して、画面上のどこを何秒見たかというデータから視線の動きをはかる装置です。

この検査により、自閉症傾向があるお子さんの今の状態や興味を客観的に評価できるそうです。長男の状況を客観的データから正確に把握するという手法が新鮮で、息子についての理解が進む気がして嬉しくなりました。

いよいよ、ゲインズファインダー検査の後、採便の結果を先生から詳しく聞くことになります。

「検査結果と便移植について聞く」に続く

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