腸内フローラ移植・症例紹介

自律神経失調症、更年期障害、40代女性 -糞便微生物叢移植症例紹介

症例紹介 40代女性 自律神経失調症、更年期障害

要約

膝半月板の手術をしてから、緊張感が続き気分が落ち着かなくなった。午前中は調子良いが、昼過ぎから夕方にかけて調子が悪くなる。夜は元気になる。便通は残便感がありすっきりしない。食欲もあまりなく、特に生理や排卵期に調子が悪くなる。眠りも浅く、手のひらに汗をかき交感神経が緊張している状態である。
3回移植をしてから倦怠感がほとんどなくなり便通も良くなる。食欲も出てきた。
5回目の移植が終了してから、気分的に落ち込むこともなくなり、体調は梅雨の湿気の多い気候にもかかわらず良い状態である。不定期だが体調維持のために追加移植を続けていきたいと思っている。

基本情報

患者様:40代女性
主治医:医療法人はるなクリニック
移植担当医療機関:医療法人はるなクリニック

初診時情報

病名:自律神経失調症、更年期障害
発症時:2018年10月
移植目的:疾患の改善、睡眠障害の改善
主訴:左半月板置換術をして1ヶ月経った頃から、そわそわや緊張が続き、気分が落ち着かなくなった。また眠ることもできなかった。女性ホルモンの低下による更年期とも重なり、全体的に気分の落ち込みや倦怠感、睡眠障害、交感神経緊張状態が出てきた。数十年前から下剤を飲まなければ便秘になっていたが、乳酸菌サプリメントを飲むことで毎日便が出るようになった。これらの症状を改善させたいため、腸内フローラ移植を希望。
既往歴:2018年9月 左膝半月板の手術
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など:漢方、サプリメント

移植情報

移植期間:2019/07/09~2023/04/06
移植回数:移植3回+追加移植11回
移植初回〜移植終了までの変化:
【1回目移植時問診】
(患者さんより)午前中は調子が良いが、昼過ぎから夕方までが倦怠感が強い。夜になると元気になってくる。便通は毎日出るが残便感あり、おなかが張っている感じがする。傷が治りにくい。

【2回目移植時問診】
(患者さんより)感情的には大きな変わりはない。眠りが深くなったような気がする。今まで空腹感がなくても無理やり食べていたが、空腹感があって食事できるようになった。移植後に菌液は出ず、翌日、普通便が出た。

【3回目移植時問診】
(患者さんより)移植2回目の後も菌液が出ることはなく、全て吸収された。便通は良くなってきているが、2日に1回、お腹が少し張る。生理前のおなかの張りはなくなった。夕方のだるさはまだ残っているが、気分的に少し良くなってきた感じがする。熟睡できるようになった。

【移植3ヶ月後問診】
(患者さんより)移植終了3か月後の診察で来院。移植をして気分の変調が良くなり、食欲が出てきている。熟睡感があり、良く眠れている。生理や排卵の時はまだ倦怠感を感じる。

移植3回コースに加え、移植追加3回をご希望。

【4回目(追加1)移植時問診】
(患者さんより)気分の落ち込みや不安感、倦怠感はかなり良くなっている。

【5回目(追加2)移植時問診】
更年期障害による精神的な不安定を防ぎたい、代謝を高めたいとの要望あり。ご本人様によると、いつもひどい花粉症であるが、今年は花粉症の症状があまりひどくなかった。精神的にも安定している、とのこと。

【6回目(追加3)移植時問診】
(患者さんより)移植した後、菌液が出ることなく吸収されている。移植をしてから、気持ち的な落ち込みはほとんどなくなり精神的に安定してきている。

今後、間をあけて何回か移植をしていきたいとのご要望。

【7回目(追加4)移植時問診】
(患者さんより)不安神経症で時々不安になることがあるが、以前のようにずっと不安が続いている訳ではないので、かなり精神的に落ち着いてきている。

【8回目(追加5)移植時問診】
(患者さんより)精神的には安定していて調子が良い。

【9回目(追加6)移植時問診】
(患者さんより)追加移植をしてから、移植をするたびに精神的に落ち着いてきている。

【10回目(追加7)移植時問診】
(患者さんより)精神的にも安定している。定期的に移植をすることで維持できている。今の菌液が自分に合っていると思う。

【11回目(追加8)移植時問診】
(患者さんより)下痢の状態が続くので近医受診。抗生剤を出されてから下痢がひどくなった。病院で偽膜性腸炎疑いで入院したが潰瘍性大腸炎と診断された。現在、下痢はおさまっている。

本日来院され特に腹部症状なく症状は安定している。

【12回目(追加9)移植時問診】
(患者さんより)潰瘍性大腸炎の方は現在落ち着いている。便通も悪くはない。血便も出てない。当初より精神的にかなり楽になり、夜寝るときの不安感もなくなって眠れるようになってきた。

【13回目(追加10)移植時問診】
(患者さんより)潰瘍性大腸炎の方は落ち着いている。ガスが出るようになって調子が良い。以前に移植してもらった時のほうが良い感じがしたが、腸に関しては今の菌液は合っていると思う。

【14回目(追加11)移植時問診】
(患者さんより)体調がすごく良い。お腹の調子も良いし、精神的にも落ち着いている。

腸内フローラバランス 比較データ

本人の体感(アンケートより):回答なし

評価・考察

移植評価:症状の中程度の改善
有害事象の有無:なし

移植終了後の変化:
気分的に明るくなり、精神的にも安定してきている。今後、不定期に追加移植を希望している。移植をすることで精神的な安定感が出てきた。また、便通の改善とともに食欲も出てきており、腸内環境が変わることで精神的な改善ができたと思われる。今後は更年期の症状や体重が増えてきたので代謝のコントロールをしたいとのことであった。

移植総評・考察:
精神的にはかなり安定していて定期的に移植を希望されている。今の菌液がすごく合っているとのことであった。

以上

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