便秘症・自律神経失調症・その他の疾病 30代女性 -糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 30代女性 便秘症・自律神経失調症・その他の疾病(経過観察中)
要約
月経不順が続いていて多嚢胞性卵巣と診断。ストレスなどから甘い物の欲求が強くなり、体重増加が進んできた。食事に気をつけていて一旦体重はましになったが、そのころ、2018年8月ごろから脱毛が始まり、月経不順もあったので婦人科にてホルモン治療を開始。ホルモン治療による体調不良、体重がさらに増えてきたので中止。ホルモン治療を中止しても体重は減少せず、脱毛も治らない。
便秘は20歳頃より便秘のために下剤を使っていたが効かなくなり、浣腸も使用するようになってきた。それ以降、浣腸も併用しないと便が全くでない。でも、出てもおなかがすっきりすることはなくおなかの張りが強く苦しい。そのため日に2回浣腸をしているがすっきりしない。胃腸科での検査では腸が動いてなくてガスが大量にたまっているとのことだった。
顔やおなかのむくみが気になる。
当院に2019年2月受診、ホルモンかく乱状態なので、腎臓内科と内分泌内科紹介。腎臓は機能的にも異常なく、内分泌はサプリメントによるホルモンかく乱でやめることで落ち着いている。
移植中も食事をするとおなかが張ってきてガスがたまるが、それとは逆に食欲が増してくるとのこと。月経異常、不眠、肥満、脱毛など内分泌異常に関わる症状が出ているが、根本的には胃腸の問題を解決しないとほかの症状は解決しないと思っている。
初診時情報
病名: | 便秘、脱毛、肥満、ホルモン異常、不眠 |
発症時期: | 20歳 |
移植目的: | 便秘 睡眠障害 その他(脱毛、 月経不順、ホルモン異常 |
主訴: | 肥満、脱毛、便秘、おなかの張り、月経不順 |
服薬中の薬: |
漢方薬、プロバイオ、プレバイオ |
既往歴: |
なし |
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: |
移植情報
移植期間: | 2019年9月14日〜2019年12月5日 |
移植回数: | 6回 |
移植初回〜移植終了までの変化: |
6回の移植中も変化はまったくない。 【1回目移植時問診】 |
移植終了後の変化: |
変化なし |
評価・考察
移植評価: | 変化なし |
移植前後フローラバランス検査の変化: |
移植前のフローラ検査では、C.claster群の検出数以外は多様性が乏しい。ただC.claster群の中身は非常に悪い。女性ホルモンに関係するエクオール産生菌の割合としては問題なく、抜け毛の原因は他にあるかもしれない。 |
血液検査の変化: | 実施せず |
POMS2スコア変化: | 1回目は混乱や緊張がとても高く友好性はかなり低い。TMDも106とかなり高く、精神的ストレスはかなり高いものとなっている。 |
<腸内フローラバランス 1回目データ>
本人の体感(アンケートより): |
移植をしても何も変わらず実感がない。 |
有害事象の有無: |
なし |
移植総評・考察: |
移植を6回しましたが、特に変化なし。 本人の精神的なものは、前向きに菌を育てていこうと食事や生活リズムにも見直しなどをしている。しかし、なかなか症状よくならずに焦りも出ている。 腸の動きは移植直後若干あるが、腸がマヒ状態にあるような感じがする。根本的には、胃腸問題を解決しないと内分泌異常は解決しないと思っている。 |
以上
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