【関連論文】腸内細菌・FMT研究まとめ(2025.1.20)
<目次>
・腸管バリア透過性の増加:過敏性腸症候群における新たな知見
・ハイパースペクトルイメージングを使用した便潜血定量の高精度検出の可能性
・ヒト腸内共生細菌Segatella copriのRNAランドスケープと腸内定着に必要な低分子RNA
・高血清農薬レベルは炎症性腸疾患の発症リスク増加と関連する:ネストテッドケースコントロール研究
・SARS-CoV-2急性炎症反応およびLong COVIDと関連する微生物トリプトファン代謝の破綻
・コーヒー摂取は腸内Lawsonibacter asaccharolyticusの豊富さと関連する
・amoA遺伝子のプローブキャプチャーエンリッチメントシーケンスによる多様なアンモニア酸化性古細菌および細菌集団の検出の向上
・難消化性スタキオースが小腸上皮細胞のHSP90βに結合し、細胞外小胞miRNAを調節する新たな機能と機構
・腸脳コミュニケーションにおける内受容感覚
・血流感染症患者における抗生物質治療期間の比較:7日間 vs. 14日間
・腸-脳軸と消化管における痛みのシグナル伝達機構
・微生物叢の集団的代謝を理解するためのフレームワーク
・ヤギにおける肺炎に対する糞便微生物叢移植の効果
・IFN-γ依存性NKT細胞による腸上皮恒常性の調節
腸管バリア透過性の増加:過敏性腸症候群における新たな知見
(タイトル)Gut Barrier Leakiness: Time to Take It Seriously?
(タイトル訳)腸管バリア透過性の増加:本格的に取り組む時が来たのか?
(概要)過敏性腸症候群(IBS)は、腸管および脳の免疫変化、腸内細菌叢の異常、神経内分泌系の変化など、複数の因子が関与する複雑な疾患です。Gastroenterologyの今回の号でBarbaro らは驚くべき数のIBS患者(226名)を対象とした研究において、腸管バリア透過性の増加と、微生物成分の血流移行を示唆するバリア機能の破綻が明らかにしている。特に腸上皮バリアと血管バリアの双方の透過性が、心理的および腹部症状と関連することが確認され、IBSの多様な症状の成因に寄与している可能性が示唆された。
(著者)Javier Santos, Maria Rescigno
(雑誌名・出版社名)Gastroenterology
(出版日時)2024年8月16日
DOI:10.1053/j.gastro.2024.08.01
URL:https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(24)05352-6/fulltext
ハイパースペクトルイメージングを使用した便潜血定量の高精度検出の可能性
[Original Article—Alimentary Tract](タイトル)Possibility of Determining High Quantitative Fecal Occult Blood on Stool Surface Using Hyperspectral Imaging
(タイトル訳)ハイパースペクトルイメージングを使用した便潜血定量の高精度検出の可能性
(概要)国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、理事長:中釜 斉)先端医療開発センター(センター長:土原 一哉)とエバ・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:高良 洋平)は、ハイパースペクトルイメージングを用いることで、便表面の高定量値便潜血領域を瞬時に画像化できることを証明しました。
(著者)Hiroaki Ikematsu, Yohei Takara, Keiichiro Nishihara, Yuki Kano, Yuji Owaki, Ryuji Okamoto, Takahisa Fujiwara, Toshihiro Takamatsu, Masayuki Yamada, Yutaka Tomioka, Nobuyoshi Takeshita, Atsushi Inaba, Hironori Sunakawa, Keiichiro Nakajo, Tatsuro Murano, Tomohiro Kadota, Kensuke Shinmura, Yoshikatsu Koga, Tomonori Yano
(雑誌名・出版社名)Journal of Gastroenterology
(出版日時)2024年10月23日
DOI:https://doi.org/10.1007/s00535-024-02163-2
URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00535-024-02163-2
プレスリリース↓
便表面の便潜血の画像化に成功
トイレ内で便潜血が判定できる機器の開発に着手
https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/1119/index.html
ヒト腸内共生細菌Segatella copriのRNAランドスケープと腸内定着に必要な低分子RNA
[Regular Article](タイトル)The RNA Landscape of the Human Commensal Segatella copri Reveals a Small RNA Essential for Gut Colonization
(タイトル訳)ヒト腸内共生細菌Segatella copriのRNAランドスケープと腸内定着に必要な低分子RNA
(概要)Segatella copri(以前のPrevotella copri)は、ヒト腸内微生物叢の主要構成要素であり、健康および疾患と関連しています。本研究では、Segatella copriのRNAランドスケープを詳細に解析し、Small RNA「SrcF(Segatella RNA colonization factor)」を発見している。このRNAは腸内定着に必要であり、栄養獲得に関連する遺伝子を調節している。特に、SrcFの発現は複雑な炭水化物(例:フルクタン)の分解によって調節されることが示され、腸内の他の共生細菌との相互作用を介して炭水化物の代謝が種間シグナルとして機能する可能性が明らかになった。
(著者)Youssef El Mouali, Caroline Tawk, Kun D. Huang, Lena Amend, Till Robin Lesker, Falk Ponath, Jörg Vogel, Till Strowig
(雑誌名・出版社名)Cell Host & Microbe
(出版日時)2024年11月13日
DOI:10.1016/j.chom.2024.09.008
高血清農薬レベルは炎症性腸疾患の発症リスク増加と関連する:ネストテッドケースコントロール研究
[Research Letter](タイトル)High Serum Pesticide Levels Are Associated with Increased Odds of Inflammatory Bowel Disease in a Nested Case-Control Study
(タイトル訳)高血清農薬レベルは炎症性腸疾患の発症リスク増加と関連する:ネストテッドケースコントロール研究
(概要)
本研究では診断の6~10年前における血清中の殺虫剤混合物が、炎症性腸疾患(IBD)の発症リスクを高めることを示している。この結果は、農業とIBDに関するデンマーク、フランス、アメリカの研究と一致している。
(著者)
Manasi Agrawal, Ryan C. Ungaro, Palak Rajauria, Lauren Petrick, Vishal Midya, and PREDICTS study collaborators
(雑誌名・出版社名)
Gastroenterology
(出版日時)
2024年11月14日
DOI:10.1053/j.gastro.2024.10.041
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0016508524056920
SARS-CoV-2急性炎症反応およびLong COVIDと関連する微生物トリプトファン代謝の破綻
[Research Paper](タイトル)Dysrupted Microbial Tryptophan Metabolism Associates with SARS-CoV-2 Acute Inflammatory Responses and Long COVID
(タイトル訳)SARS-CoV-2急性炎症反応およびLong COVIDと関連する微生物トリプトファン代謝の破綻
(概要)COVID-19感染患者では腸内微生物によるトリプトファン代謝の減少がウイルス感染への不適切な免疫応答と関連していることが示されている。特に、トリプトファンおよびその代謝産物(例: indole-3-propionate)が炎症性サイトカインおよび急性期タンパク質の血清レベルと負の相関を示した一方で、C-glycosyltryptophan (C-Trp)やindole-3-acetic acidなどはこれらのレベルと正の相関を示した。この研究は、腸内微生物のトリプトファン代謝能力の低下がSARS-CoV-2感染に対する免疫応答を損なう可能性を示唆している。
(著者)Lu Yao, Hannah Devotta, Junhui Li, Nonhlanhla Lunjani, Corinna Sadlier, Aonghus Lavelle
(雑誌名・出版社名)Gut Microbes
(出版日時)2024年11月17日
DOI:10.1080/19490976.2024.2429754
URL:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/19490976.2024.2429754
コーヒー摂取は腸内Lawsonibacter asaccharolyticusの豊富さと関連する
[Research Article](タイトル)Coffee Consumption Is Associated with Intestinal Lawsonibacter asaccharolyticus Abundance and Prevalence Across Multiple Cohorts
(タイトル訳)コーヒー摂取は腸内Lawsonibacter asaccharolyticusの豊富さと関連する
(概要)本研究では米国と英国の複数の集団(22,867人)から得た詳細な食事情報をもとに、211コホート(N= 54,198)の公開データと統合したマルチコホート・マルチオミック解析でコーヒー摂取が腸内細菌叢の構成と強い相関を持つことを示している。特に腸内細菌Lawsonibacter asaccharolyticusの存在と増加がコーヒー摂取と密接に関連していることを示している。438サンプルの血漿メタボロミクスにより、コーヒー消費者に濃縮されたいくつかの代謝物が同定され、キナ酸とその潜在的誘導体がコーヒーとL.asaccharolyticusに関連していた。また、試験管内実験により、コーヒーがL. asaccharolyticusの成長を促進することが確認された。本研究は特定の腸内微生物と特定の食品との代謝的関連性を明らかにし、生化学レベルでの微生物による食餌応答を理解するための枠組みを提供している。
(著者)Nicola Segata, et al.
(雑誌名・出版社名)Nature Microbiology
(出版日時)2024年11月18日
DOI:10.1038/s41564-024-01858-9
URL:https://www.nature.com/articles/s41564-024-01858-9
amoA遺伝子のプローブキャプチャーエンリッチメントシーケンスによる多様なアンモニア酸化性古細菌および細菌集団の検出の向上
[Resource Article](タイトル)Probe Capture Enrichment Sequencing of amoA Genes Improves the Detection of Diverse Ammonia-Oxidising Archaeal and Bacterial Populations
(タイトル訳)amoA遺伝子のプローブキャプチャーエンリッチメントシーケンスによる多様なアンモニア酸化性古細菌および細菌集団の検出の向上
(概要)東京大学大気海洋研究所の塩崎拓平准教授と伊知地稔特任研究員(研究当時)、海洋研究開発機構海洋機能利用部門の平岡聡史研究員らによる研究グループは、キャプチャーシークエンシング法を用いたアンモニア酸化を担う微生物の網羅的検出法を開発しました。模擬的な微生物群集サンプルを用いて、一般的に利用されるアンプリコンシークエンシング法とショットガンシークエンシング法と比較したところ、本手法は低バイアス・高効率にアンモニア酸化微生物の群集構造を復元できることが示されました。
(著者)Satoshi Hiraoka, Minoru Ijichi, Hirohiko Takeshima, Yohei Kumagai, Ching-Chia Yang, Yoko Makabe-Kobayashi, Hideki Fukuda, Susumu Yoshizawa, Wataru Iwasaki, Kazuhiro Kogure, Takuhei Shiozaki
(雑誌名・出版社名)Molecular Ecology Resources
(出版日時)2024年11月18日
DOI:https://doi.org/10.1111/1755-0998.14042
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1755-0998.14042
プレスリリース↓
窒素循環を駆動する微生物の網羅的検出法を開発 ―アンモニア酸化酵素遺伝子の選択的シークエンシングによる 遺伝的多様性解析―
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2024/20241118.html
難消化性スタキオースが小腸上皮細胞のHSP90βに結合し、細胞外小胞miRNAを調節する新たな機能と機構
(タイトル)Nondigestible Stachyose Binds Membranous HSP90β on Small Intestinal Epithelium to Regulate the Exosomal miRNAs: A New Function and Mechanism
(タイトル訳)難消化性スタキオースが小腸上皮細胞のHSP90βに結合し、細胞外小胞miRNAを調節する新たな機能と機構
(概要)スタキオースはこれまで消化管を通過するだけの「傍観者」と考えられていましたが、本研究ではスタキオースが小腸上皮細胞(IEC)の膜タンパク質HSP90βに結合することで、細胞外小胞miRNAプロファイルを再構築することを明らかにしている。特に、スタキオースはmiR-30a-5pを抑制し、Lactobacillusの増殖を促進する一方で、腸内細菌叢と細胞外小胞miRNA間の双方向的なフィードバックループが形成される可能性も示された。これらの発見は難消化性スタキオースの微生物に依存しない新たな作用様式を明らかにするものであり、スタキオースは小腸と直接「会話」することで腸内細菌叢を操作し、小腸IECs由来の細胞外小胞miRNAを再構成する。この調節は、従来のプレバイオティクスとしての役割を超え、腸内細菌叢を形成する新しいメカニズムを示している。
(著者)Ting Li, Yueyue Liu, Tianchi Duan, Chao Guo, Bin Liu, Xiuqiong Fu, Lu Wang, Xiaoyuan Wang, Xinyue Dong, Chennan Wang, Yalong Lu, Yu Wang, Lin Shi, Honglei Tian, Xingbin Yang
(雑誌名・出版社名)Cell Metabolism
(出版日時)2024年11月18日
DOI:10.1016/j.cmet.2024.10.012
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S155041312400408X?via=ihub
腸脳コミュニケーションにおける内受容感覚
[Primer Article](タイトル)Interoception and Gut–Brain Communication
(タイトル訳)腸脳コミュニケーションにおける内受容感覚
(概要)Interoception(身体状態を内部で感知し、脳に伝達すること)は最近の「流行語」となっているが、歴史を概観してみると脳と身体がどのようにコミュニケーションをとるかという科学的研究の歴史は16世紀、フランスの哲学者であり科学者であったルネ・デカルト(1596-1650)が心と身体は基本的に異なる2つの存在でありながら、相互に作用し合って動物や人間の行動を制御していると提唱したとしている。ここでは体内の内的状態を感知し脳に伝達する「Interoception」について議論し、特に腸脳軸を介した神経・ホルモン経路がエネルギー収支や代謝に与える影響を焦点としている。さらに、腸脳軸の解剖学的および生理学的基盤を進化的視点から考察し、健康および疾患への影響を論じている。
(著者)Amber L. Alhadeff, Nilay Yapici
(雑誌名・出版社名)Current Biology, Elsevier
(出版日時)2024年11月18日
DOI:10.1016/j.cub.2024.10.035
血流感染症患者における抗生物質治療期間の比較:7日間 vs. 14日間
(タイトル)Antibiotic Treatment for 7 versus 14 Days in Patients with Bloodstream Infections
(タイトル訳)血流感染症患者における抗生物質治療期間の比較:7日間 vs. 14日間
(概要)血流感染症は重篤な罹患率と死亡率を伴う疾患であり、早期かつ適切な抗生物質治療が重要です。本研究は、血流感染症患者において7日間と14日間の抗生物質治療の有効性を比較する多施設非劣性試験を実施しました。3608人の患者がランダムに2つの治療群に割り振られ、90日間の死亡率において7日間治療が14日間治療に対し非劣性であることが確認されました(死亡率の差: -1.6% [95.7%信頼区間{CI}、-4.0~0.8])。また、副次的な臨床転帰や患者、病原体、症候群の特徴による事前規定のサブグループ間でも結果は一貫していました。
(著者)The BALANCE Investigators for the Canadian Critical Care Trials Group, the Association of Medical Microbiology and Infectious Disease Canada Clinical Research Network, the Australian and New Zealand Intensive Care Society Clinical Trials Group, and the Australasian Society for Infectious Diseases Clinical Research Network
(雑誌名・出版社名)The New England Journal of Medicine
(出版日時)2024年11月20日
DOI: 10.1056/NEJMoa2404991
URL:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2404991
腸-脳軸と消化管における痛みのシグナル伝達機構
[Review Article](タイトル)The Gut–Brain Axis and Pain Signalling Mechanisms in the Gastrointestinal Tract
(タイトル訳)腸-脳軸と消化管における痛みのシグナル伝達機構
(概要)内臓痛は主要な臨床問題の一つであり、消化管疾患患者が医療を求める最も一般的な理由の一つである。感覚ニューロンは腸内の刺激を検知し、免疫細胞や腸内細菌叢などの非神経細胞との相互作用によって痛みを増幅することがあり、腸と神経系の双方向通信である腸-脳軸が痛みを媒介している可能性がある。本レビューでは、この双方の通信が疾患中にどのように変化し、内臓痛を悪化させるかを解説し、新たな治療標的の可能性を示している。
(著者)Kimberly A. Meerschaert, Isaac M. Chiu
(雑誌名・出版社名)Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology
(出版日時)2024年11月22日
DOI:https://doi.org/10.1038/s41575-024-01017-9
URL:https://www.nature.com/articles/s41575-024-01017-9
微生物叢の集団的代謝を理解するためのフレームワーク
[Perspective](タイトル)A framework for understanding collective microbiome metabolism
(タイトル訳)微生物叢の集団的代謝を理解するためのフレームワーク
(概要)微生物群集の代謝は、生態系の多くの重要な機能の基盤をなしている。微生物群集の構成員は、基質の部分的な分解を行ったり、成長に必要な全ての代謝機能を発現していないことが多い。しかし、これらの構成員は代謝中間体や細胞構成成分を交換することで相互補完し、集団的代謝を実現している。本研究では個々の微生物が部分的代謝を採用する理由と代謝機能がどのように分配されるかを説明する機構的枠組みを提案している。特に、タンパク質投資を最小限に抑えつつ必須代謝流量を維持する「プロテオーム効率」に対する自然選択が、部分的代謝の背景にあると主張している。炭素循環を例に、集団的代謝の特徴、これが個々のプロテオーム効率を高める条件、およびその結果生じる代謝相互作用について議論している。
(著者)Matthias Huelsmann, Olga T. Schubert, Martin Ackermann
(雑誌名・出版社名)Nature Microbiology
(出版日時)2024年11月26日
DOI:https://doi.org/10.1038/s41564-024-01850-3
URL:https://www.nature.com/articles/s41564-024-01850-3
ヤギにおける肺炎に対する糞便微生物叢移植の効果
(タイトル) Fecal Microbiota Transplantation Against Respiratory Disease in Goats at Field Conditions
(タイトル訳) ヤギにおける肺炎に対する糞便微生物叢移植の効果
(概要)本研究では季節性に再発し抗生物質治療に反応しない肺炎を患うヤギ群(n=38)において、糞便微生物叢移植(FMT)が肺炎の臨床症状の改善に与える影響を評価している。健康なヤギから採取された糞便を用いてFMTを行い、治療前後の臨床スコアを比較し、その結果、治療後3日目には肺炎の症状が軽減され、臨床的な改善が確認された。本研究は、FMTが抗菌薬や免疫抑制薬の効果が不十分な肺炎に対して有望な治療手法である可能性を示している。
(著者)Kerem Ural, Hasan Erdoğan, Songül Erdoğan, Burak Antakyalıoğlu, Cansu Balıkçı
(所属)Adnan Menderes University, Faculty of Veterinary, Department of Internal Medicine, Işıklı, Aydın, Turkey
(雑誌名・出版社名)Turkish Journal of Veterinary Internal Medicine
(出版日時)2024年12月23日
DOI:https://doi.org/10.5281/zenodo.14538002
URL:http://dergi.veterinerichastaliklari.org/index.php/vihder/article/view/28
IFN-γ依存性NKT細胞による腸上皮恒常性の調節
(タイトル)IFN-γ-dependent regulation of intestinal epithelial homeostasis by NKT cells
(タイトル訳)IFN-γ依存性NKT細胞による腸上皮恒常性の調節
(概要)腸上皮の恒常性は上皮細胞と免疫細胞が協調して腸バリアの機能を維持することで成り立っている。本研究ではNKT細胞が腸上皮細胞(IEC)の運命や機能を制御する主要な調節因子であることを示している。小腸近位部に多く存在するNKT細胞は、IFN-γやIL-4を分泌し、IECの生存や分化、アポトーシスを制御する。NKT細胞が欠損したマウスでは、IECの代謝や増殖経路が変化し、細胞のターンオーバーが増加することが確認された。また、NKT細胞の活性化はIFN-γ依存的な上皮細胞のアポトーシスを誘導する。これらの結果は、NKT細胞が腸上皮の転写および細胞環境を調節する役割を持つことを示唆しています。
(著者)Marta Lebrusant-Fernandez, Tom ap Rees, Rebeca Jimeno, Nikolaos Angelis, Joseph C. Ng, Franca Fraternali, Vivian S.W. Li, Patricia Barral
(雑誌名・出版社名)Cell Reports
(出版日時)2024年12月24日
DOI:DOI: 10.1016/j.celrep.2024.114948
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