腸内フローラ移植臨床研究会とは

理念

私たちは、クリニックなどの臨床現場から生まれる臨床医学上の
新たな知見を厳格な科学的根拠に基づいて社会に実装し、
すべての患者さんに安全かつ有効な医療を届けることを使命とします。

行動指針
私たちは、新しい医療技術の開発においては、大学などの研究機関のみならず、
日々患者を診療する「クリニックにおける医師」の経験から生まれる新たな知見を通しても、
促進されるべきものと考えています。

クリニックから生まれる新たな知見は、科学的根拠に基づいて精査し体系化することによって、医療の発展に資する重要な要素となります。
こうした臨床の現場から生まれる医療技術が自由診療の枠を超えて、公的な医療制度の中で幅広く普及するためには、臨床現場で得た新たな知見をエビデンスへと昇華させ、社会実装を担う中間組織の存在が不可欠です。

当財団は、クリニック、大学などの研究機関、企業、及び患者さんが相互に信頼を築きながら協働し、クリニックなどの臨床現場から生まれる新しい医療技術の社会実装を支え、その発展に貢献することを使命とします。これと同時に、私たちは、常に患者さんの権利と安全性を最優先に考慮し、倫理的な観点に基づいて医療技術の開発を推進します。

このように、当財団は、「自由診療 → 特定臨床研究 → 治験 → 標準医療への展開」に至る道筋を、クリニック、大学などの研究機関及び企業が連携して築いていくことを、当法人の果たすべき役割の一つと捉えています。

当財団に属する医師らは、すでに、「独自に開発した新規糞便微生物叢移植(新規FMT)法を用いる自閉スペクトラム症(ASD)の治療」に関する自由診療の結果に基づいて、特定臨床研究を実施し、新規FMT法がASDに対して、高い有効性と安全性を有することを明らかにしました。この成果は、治療法のない、世界のASDの方々にとって、一筋の光明として注目されるものとなっています。今後は、この方法を広く世界に広めるために、特定臨床研究を支えていただいた大学などの研究機関の関係者に加えて、臨床研究に必要な糞便微生物叢を無償提供してきた企業の協力の下で、治験の実施に向けた準備を進めています。

医師らの活動は、ASDに留まらず、すでに、潰瘍性大腸炎、がんなどの各種疾患に及んでおり、次のステップへの移行も視野に入れて、一層の拡大を続けています。

さらに、当財団は、FMTによって再構築された腸内細菌叢と腸管免疫の恒常性の維持を可能とするため、治療後の状態を長期に亘って維持するためのProbioticsの開発と臨床応用にも取り組みます。これにより、再発の抑制や予後の改善を図り、持続的な健康支援を実現することを目指します。

以上の「自由診療 → 特定臨床研究 → 治験」に至る一連のプロセスで用いる糞便微生物叢のドナーの健康管理を徹底し、加えて、設定した品質規格に適合する糞便微生物叢をGMP(Good Manufacturing Practice)下で調製します。

当財団は、開発された治療法やProbioticsに関する研究成果を、学会発表や論文発表を通じて広く公開するとともに、医療従事者向けの研修プログラムなどを開発し、普及に努めます。

2030年までの目標

  • 糞便微生物叢移植を誰でも安心して受けられる治療法として確立する
  • 難治性疾患の臨床研究・治験を大学と連携して行う
  • 常在細菌を介して異なる診療科をつなぐ架け橋になる
Goals by 2030

活動内容

  • 糞便微生物叢移植の効果と安全性の確立
  • ヒトの常在菌、糞便微生物叢移植に関する教育・研修活動
  • Japanbiome®︎(ボランティアドナーバンク)の運営支援
  • 腸内細菌叢解析による健康維持支援活動
  • 自閉スペクトラム症に対する新規糞便微生物叢移植による特定臨床研究の実施