過敏性腸症候群の 新しい治療法
一般財団法人
腸内フローラ移植臨床研究会
第8回学術大会
革新的な

過敏性腸症候群の 新しい治療法

学術大会にご参加いただき、患者さんに優しい腸内細菌叢移植の可能性を感じてください。
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過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群(IBS: Irritable Bowel Syndrome)は、慢性的な腹痛や腹部不快感とともに、下痢や便秘などの腸の機能異常を特徴とする疾患です。

この症状は、特に大腸の運動機能の異常によって引き起こされるとされています。IBSの診断は、他の消化器疾患が排除された上で行われるため、排除診断とも呼ばれます。

IBSは一般的に若年成人から中年にかけて発症し、一般的には成人の約10〜20%がIBSに罹患しているとされています。地域差もありますが、女性のIBS患者の割合は約60〜70%、男性の患者の割合は約30〜40%です。男性は、女性に比べて症状の訴えが少ないことが多く、診断が遅れることもあります。

過敏性腸症候群の原因と発症メカニズム

IBSの原因は複雑で多岐にわたり、完全には解明されていませんが、いくつかの主要な要因が示唆されています。これらの要因は、腸の運動機能の異常、腸内フローラの異常、腸の過敏性、精神的ストレス、食事やライフスタイルの影響などです。

  • 腸の運動機能の異常
    腸の運動機能が正常に働かないと、食物の移動が遅くなったり早くなったりすることで、下痢や便秘が引き起こされます。これがIBSの主な症状の一つである便通異常につながります。
  • 腸内フローラの異常
    健康な腸内には多種多様な細菌がバランスよく存在し、消化や免疫機能に重要な役割を果たしています。しかし、IBS患者ではこのバランスが乱れていることが多く、腸内フローラの異常が症状の一因とされています。特に、腸内細菌の多様性が低下していることが確認されています。
  • 腸の過敏性
    IBS患者は、腸が正常以上に敏感になっていることが多いです。これは、腸の神経が過敏になり、通常では感じないような腸の動きやガスの存在を痛みや不快感として感じるためです。
  • 精神的ストレス
    ストレスはIBSの症状を悪化させる要因の一つです。ストレスによって腸の運動機能や腸内フローラに影響が及び、症状が悪化することがあります。また、IBS自体がストレスを引き起こす悪循環が存在します。
  • 食事やライフスタイル
    食事内容や食生活の習慣もIBSに影響を与えます。例えば、脂肪分の多い食事やカフェイン、アルコール、特定の炭水化物がIBSの症状を悪化させることがあります。また、規則正しい生活や適度な運動が症状の管理に役立つことが知られています。

これらの要因が複雑に絡み合い、IBSの発症や症状の悪化に寄与していると考えられています。IBSの理解には、これらの多様な要因を総合的に考慮することが重要です。

過敏性腸症候群の現在の治療法

IBSの治療法は主に症状の緩和を目的としており、患者一人ひとりの症状や生活習慣に合わせたアプローチが求められます。現在の治療法は以下の通りです。

  • 食事療法
    食事療法はIBSの管理において非常に重要です。特にFODMAP制限食は、多くのIBS患者に効果があるとされています。FODMAPとは、腸で発酵しやすい短鎖炭水化物の総称で、これを制限することでガスの生成や腸の膨満感を抑えることができます。また、食物繊維の摂取を調整することも有効です。便秘型IBSには水溶性食物繊維が推奨され、一方でガス型や下痢型IBSには不溶性食物繊維の摂取が適度に制限されます。
  • 薬物療法
    IBSの症状に応じて、さまざまな薬物が使用されます。抗けいれん薬は腸の痙攣を抑える効果があり、主に腹痛や不快感の軽減に使用されます。下痢型IBSには下痢止め薬、便秘型IBSには便秘薬が処方されます。また、近年では腸内細菌に働きかけるプロバイオティクスやプレバイオティクスの使用も注目されています。
  • 心理療法
    心理的ストレスがIBSの症状を悪化させることがあるため、認知行動療法(CBT)やその他の心理療法が有効とされています。これらの療法は、ストレス管理や心身のリラクゼーションを促進し、IBSの症状を緩和するのに役立ちます。特に、CBTはIBSの症状に対する認知と行動の変化を促し、症状の管理に寄与します。

これらの治療法は、IBSの症状を緩和し、患者の生活の質を向上させるために組み合わせて用いられます。IBSの治療は個別化が重要であり、患者それぞれの症状やライフスタイルに合わせたアプローチが必要です。

Innovative

過敏性腸症候群の新しい治療法

近年、IBSの新しい治療法として注目されているのが、糞便微生物叢移植(FMT: Fecal Microbiota Transplantation)です。当研究会では、患者さんに優しい方法を採用した新しいFMT法であるNanoGAS®-FMT法を取り入れています。

Treatment Method

移植前に抗菌薬を
使用しません

NanoGAS®-FMT法は、移植前に抗菌薬を使用しません。移植する微生物叢液の量も、細菌数に換算すると、1000分の一以下とごく微量です。

食事制限も腸管洗浄も
必要ありません

移植時に内視鏡も使用しないため、食事制限をする必要がなくなり、腸管洗浄も必要ありません。直径7ミリ弱の極細のゴム管を肛門に近い直腸付近に、ごく微量の微生物叢液を投与することで、移植を実施することができます。

心と体に
優しい方法

投与時間は僅か約10分です。 このように、新しいFMT法は、患者さんの心と体に優しい負担の少ない方法で実施しています。
糞便微生物叢移植は、腸内フローラのバランスを整えることで、過敏性腸症候群の根本的な原因にアプローチする新しい治療法として注目されています。IBSに苦しむ多くの患者にとって、この治療法が新たな希望となることが期待されます。
安全なNanoGAS®-FMT法の実現のために
NanoGAS®-FMT法を安全に実施するために、ドナーの徹底した健康管理をしています。 医師が定期的にドナーの問診を実施、専用のドナーバンクでは、ドナー便の厳しい検査を実施しています。

Case Report

過敏性腸症候群の症例報告

過敏性腸症候群(IBS: Irritable Bowel Syndrome)の治療法として、
NanoGAS®-FMT法を実施した医師による症例報告をご紹介します。
ケース1
40代女性
病名
過敏性腸症候群
移植目的
下痢・ガスの改善
移植回数
移植7回実施
移植評価
症状の明らかな改善
以前から食後におなかが張ってガスが出ており、下痢便を何回も起こしていた。移植3回目終了後から少しおなかの張りが改善され、移植を重ねるごとに症状改善し5回目には不快感がなくなった。
ケース2
50代女性
病名
過敏性腸症候群
移植目的
疾患・下痢の改善
移植回数
移植6回実施
移植評価
症状の明らかな改善
腹痛なく、食欲も出て来て、便意切迫感も改善した。その他耳鳴りも軽快し、足の浮腫の改善も認めた。移植後6ヶ月後のフローラ検査ではターゲットバランスからはまた離れているものの、自覚症状(腹部症状)は改善傾向あり。それまで食べられなかったものが難なく食べられるようになった。
ケース3
60代女性
病名
過敏性腸症候群、アトピー・アレルギー
移植目的
疾患の改善、体質改善
移植回数
移植6回実施
移植評価
症状の中程度の改善
6回の移植後、下痢、腹痛はほぼなくなった。アレルギー症状については、痒みが時々あったが、明らかな蕁麻疹は発症しなくなった。過去にアナフィラキシー発作を経験しているので、その予期不安からの精神的不安定さは持続している。
ケース4
20代男性
病名
過敏性腸症候群
移植目的
疲れやすい、下痢、ガス、肌トラブルの症状改善
移植回数
移植6回実施
移植評価
症状の中程度の改善
3回終了時に腹部症状の改善、皮膚症状の改善認め、追加の3回(計6回)の移植を施行。同症状以外に髪のつやが出てきたことに喜ばれていた。最初の目標の腹部症状の改善があり、効果はあったものと考える。
Treatment For IBS

過去開催の学術大会での発表

当研究会は年に一度、学術大会を開催しています。腸内細菌叢移植の症例報告、外部講師をお招きした基調講演、パネルディスカッションなどを1日に集約し、行っています。過去開催時の過敏性腸症候群についての発表をご覧ください。

第4回学術大会

過敏性腸症候群 症例報告
川井勇一 先生(かわい内科クリニック 院長)
YouTubeで見る

第4回学術大会

過敏性腸症候群 症例報告
城谷昌彦 先生(ルークス芦屋クリニック 院長)
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第6回学術大会

炎症性腸疾患 症例報告
木村 衛 先生(医療法人桂名会 木村病院 理事長)
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当研究会の症例別移植実績数は800件以上です。
(2024年6月5日時点)

当研究で実施しているNanoGAS®︎-FMT法による糞便微生物叢移植は過敏性腸症候群などの炎症性腸疾患のみならず、自閉スペクトラム症やアトピーアレルギー、生活習慣病などにも有効性が認められています。

第8回となる今年の学術大会においては、がんの早期発見、早期治療の重要性に対する理解が進み、様々な方法が開発されるなか、がん治療における腸内細菌叢移植の可能性と症例報告を発表いたします。また、昨年5月から開始した「自閉スペクトラム症に対する
新規糞便微生物移植法の有効性と安全性に関する特定臨床研究」の結果を報告いたします。

Extensive Experience
一般財団法人
腸内フローラ移植臨床研究会
第8回学術大会
ぜひ、学術大会にご参加いただき、腸内細菌叢移植の可能性を感じてください。
日時
2024年9月22日(日)
会場
リーガロイヤルホテル大阪
オンライン同時開催
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