腸内フローラ移植・症例紹介

広汎性発達障害 5歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介

症例紹介 5歳 男児 広汎性発達障害

要約

自閉症改善目的。移植後便の性状、衝動性、多動性は大きく改善されたが認知機能は変わらない症例。

基本情報

患者様: 5歳 男児
主治医: ルークス芦屋クリニック はるなクリニック
移植担当医療機関: はるなクリニック

初診時情報

病名: 広汎性発達障害
発症時: 新生児
移植目的: 広汎性発達障害の改善
主訴: 自閉症
服薬中の薬: タフマック、ビオスリー錠服用
既往歴: なし
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: ビタミンB、ビタミンD3、NAC、αリポ酸、亜鉛、L-トリプトファン、高血圧(祖父)、喘息(祖母)

移植情報

移植期間: 2018年11月1日〜2019年1月10日
移植回数: 6回
移植初回〜移植終了までの変化:
【1回目移植後問診】 便の調子は良い。話もよくしてくれる。理解もよく、目を見て話してくれる。
【2回目移植時問診】 性格は少し積極的になったように感じる。便移植後、2日間菌液を含め便通がなかったが、その後2日に1回軟便が出る。
【3回目移植時問診】 移植後、1日間便通がない。便通が滞りがちなった。
【4回目移植時問診】 理解力、言葉が増えてきている。便通は2日に1回。便性状は良くなっている。
【5回目移植時問診】 理解力向上、落着きが出る一方、癇癪や動作力に改善は見られない。便通は1~2日おきで性状は良い。
【6回目移植時問診】 癇癪や動作力に改善は見られない。
移植終了後の変化:
落着きが出てきて、会話がとれるようになる。性状の良い排便がある。

評価・考察

移植評価: 症状の明らかな改善
移植前後フローラバランス検査の変化: [移植前]2018年10月実施 フローラバランスは年齢相応で良好。症状の根源はクロストリジウムⅪに絞られる。
[移植中]2019年2月実施 クロストリジウムⅪが減少して脳の司令に関する組織の炎症の収まりが推測される。これまでビフィズス菌に頼るしかなかった糖代謝(脳における)が、プレボテラ属の出現により助けられ、脳にも糖が行き渡るようになる。
血液検査の変化: データなし
POMS2スコア変化: データなし
<腸内フローラバランス 移植前後比較データ>
本人の体感(アンケートより):
2019年2月取得 落ち着きが出て、会話ができるようになった。便も普通の硬さになった。
 
有害事象の有無:
なし
 
移植総評・考察:
移植をする前と比べて理解力が高まり、待つことができるようになった。会話に関しても言葉が増えて以前よりもスムーズになった。多動も減ってきているが癇癪に関してはムラがある。妹に気後れすることがなくなってきている。4回目から便通が良くなってきた。

関連動画

症例紹介:自閉症に対して行ったUB-FMTの一例 2019年3月9日勉強会にて ルークス芦屋クリニック 院長 城谷昌彦先生に腸内フローラ移植の実例をもとに、ご発表いただきました。 以上
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