パーキンソン病 70代男性 (継続中)-糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 70代男性 パーキンソン病(継続中)
要約
2018年2月15日初診。約1年前から手足の振戦が強くなり、体も動き、夜間に十分な睡眠がとれないこともある。緊張時は振戦が強くなる。便秘傾向で、漢方薬で便通あり。FMT継続中の症例。 (中間評価として)初診時情報
病名: | その他の疾病 |
発症時: | 75歳頃 |
移植目的: | 症状改善 |
主訴: | 手足の震え |
服薬中の薬: | グルタチオン |
既往歴: | 不明 |
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | 不明 |
移植情報
移植期間: | 2018年4月9日〜2019年6月10日 継続中 |
移植回数: | 17回 |
移植初回〜移植終了までの変化: |
【1回目移植後問診】
移植後、後振戦が止まっている。
今後も移植中はグルタチオン点滴、水素点滴、吸入はいったん中止する。
【2回目移植時問診】 振戦がやや収まり、睡眠が改善。 【3回目移植時問診】 振戦はさらに改善。便通は漢方薬使用効果。 【4回目移植時問診】 振戦の改善効果は維持。便通は漢方薬に頼る。 【5回目移植時問診】 振戦の改善効果は維持。便通は漢方薬に頼る。 【6回目移植時問診】 右足に震えが残る。便通はあまり改善しない。 【7回目移植時問診】 振戦の改善効果は維持。 【8回目移植時問診】 振戦が残る。 【9回目移植時問診】 手足の振戦が残る。 【10回目移植時問診】 手足の振戦が残り、緊張時強くなる。階段歩行時転倒があった。 【11回目移植時問診】 振戦が残る。 【12回目移植時問診】 手足の振戦が残り、緊張時強くなる。 【14回目移植時問診】 振戦がやや強く残り、便秘状態にある。 【15回目移植時問診】 手足の振戦が残り、便秘も続く。 【16回目移植時問診】 手の振戦が残り、緊張時や疲れで強くなる。 【17回目移植時問診】 手の振戦が残り、便秘も続く。 |
移植終了後の変化: |
手足の震え、便秘、体調にあまり改善は認められていない。(途中経過) |
評価・考察
移植評価: | 変化なし |
移植前後フローラバランス検査の変化: | [移植前]2018年3月実施
クロストリジウムのバランスが悪く、多様性が低い、典型的なストレスフルのバランスです。脳への刺激が抑えられている部分があり、その反面もあることが推測されます。バランスが改善することによって、症状の改善が望めると思います。
[移植中]2018年6月実施 移植前に問題となっていたクロストリジウム属の多様化とともにバランスも改善し、メンタル面も落ち着きを獲得されているバランスだと思います。しかしながら、真菌・ウイルスが増殖することで菌交代現象が起こっている可能性があり、バランスグラフ上で他の菌たちを押しやっていることが伺えます。抗真菌薬などの処方、あるいはカビやウイルスの検査をおすすめいたします。 |
血液検査の変化: | データなし |
POMS2スコア変化: | データなし |

本人の体感(アンケートより): |
現在なし |
有害事象の有無: |
なし |
移植総評・考察: |
17回移植時点で、パーキンソン病の振戦は持続しているが、初診時と比べてやや改善し進行は停止している。便秘は同じような状態で、下剤を定期的に服用している。グルタチオン点滴、水素点滴、レジュジン内服は継続している。 |
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