潰瘍性大腸炎　50代女性 -糞便微生物叢移植症例紹介

2024年04月08日
ルークス芦屋クリニック潰瘍性大腸炎

症例紹介　50代女性潰瘍性大腸炎

要約

潰瘍性大腸炎(UC)に対するFMT。

FMT開始後に虫垂炎を発症し、抗生剤内服で軽快。その後一時的に増悪（下血）あるも徐々に改善傾向あり、UCに対して効果があったものと考える。

基本情報

患者様：	50代女性
主治医：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）
移植担当医療機関：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）

初診時情報

病名：	潰瘍性大腸炎、反応性関節炎
発症時：	1985年頃から
移植目的：	疾患・関節痛等の改善
主訴：	関節痛、こわばり、筋肉痛、発熱、倦怠感、下血
既往歴：	原因不明の激しい腹痛と倦怠感繊維筋痛症歩行困難、静脈奇形
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など：	ステロイド内服薬、不眠症治療薬等

移植情報

移植期間：	2022/1/15~2022/2/26
移植回数：	移植6回

移植初回〜移植終了までの変化：

【1回目移植時問診】（患者さんより) 3日前から１日10回の下痢。昨日から漢方の服用を始めて少し改善。腹痛・腹部の張りが続く。ガスもたまっている。体の冷えを感じる。【1回目移植後評価】活動性のUCに対してFMT施行。一時虫垂炎を伴うも抗生剤で改善。その後一時増悪あったが改善。下血改善、便通安定。【2回目移植時問診】右下腹部痛、逆腹式呼吸にて改善。移植に対する効果を体感している様子。肛門ヘルペス（ワクチン接種済）圧痛・小水泡あり。 →診察　軟膏・内服処方にて様子観察。（患者さんより）心身共に軽くなった。移植後より腹部の張り、ガス軽減。移植後の数日は眠くて、寝てばかりだった。気持ちよく眠れた。右下腹部、排便時痛みあり。【3回目移植時問診】笑顔あり。変化に驚いている様子。移植の効果を体感しているよう。（患者さんより）心も体も軽くなった。一人でクリニックへ運転して行けた。【4回目移植時問診】腹部のハリは軽度でガスはなし。移植後便秘傾向のため、プルセニド頓用処方。（患者さんより）前回の移植翌日、虫垂の痛みあり。抗生剤を処方されたが、救急車にて搬送された。慢性虫垂炎にて3日間入院。腹部CT腫脹あり。症状落ち着き抗生剤4日分の内服で終了。移植後から便秘傾向で頭痛あり。酸化マグネシウムを内服するも、4日に1回の排便　ブリストルスケールType5〜6 下血はほとんどないが、少しピンク色。以前よりよく眠れる。【5回目移植時問診】移植にて効果を感じている様子はあり。便通調整が必要のため、かかりつけ医にて調整予定。（患者さんより）便がスッキリ出ない。部分的に出血あり。腹部のハリは少しあるが、虫垂部の痛みなし。腹部症状が落ち着いてきたら、体の痛みが出てきた。家族から本当に元気になったと言われる。駐車場から歩けるようになった。【6回目移植時問診】（患者さんより）下血が続いていた。便秘傾向あり、下剤も服用。（大建中湯・センノシド）その影響下、昨日はフラフラフラだった。便通コントロールと下血の継続に不安あり。笑うようになっている。細かいことが気にならなくなった。

腸内フローラバランス　比較データ

評価・考察

移植評価：	症状の中程度の改善
有害事象の有無：	なし

移植評価：

活動性のUCに対してFMT施行。一時虫垂炎を伴うも抗生剤で改善。その後一時増悪あったが改善。下血改善、便通安定。６ヶ月後のフォローでもフローラも改善、症状も改善傾向ありQOL向上した。精神的にも安定。便通も安定したためレクタブル注腸は中止となった。依然免疫抑制剤、ステロイドの内服は継続しているが、FMT前に比べ減量が可能となっている。

以上

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