自閉スペクトラム症　7歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介

2024年07月25日
ルークス芦屋クリニック自閉スペクトラム症

症例紹介　7歳男児自閉スペクトラム症

要約

自閉スペクトラム症（ASD）に対して糞便微生物叢移植を行った症例。こだわりの強さが目立つ。移植1回目終了後より、車を自分で降りることができるようになったり、気持ちの切り替えがうまくできるようになったりと変化が見られた。30週目も安定した状態を維持できており、移植の効果と思われる。

基本情報

患者様：	7歳男児
主治医：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）
移植担当医療機関：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）

初診時情報

病名：	自閉スペクトラム症
発症時期：	1.5歳児検診で発達の遅れを指摘
移植目的：	疾患の改善
主訴：	・こだわりの強さ・周囲の状況が理解できない・気持ちの切り替えが悪い・見通し力の弱さ・苦手なことへの取り組みにくさ・手足の不器用さ
既往歴：	1.5歳児検診にて経過観察となる。 2歳より小児・児童神経科を受診。粗大運動・言葉の促しなど作業療法を開始。 3歳から小集団療育始める。 ADHD・ASD傾向。
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など：	なし

移植情報

移植期間：	2023/7/6〜2023/8/10
移植回数：	移植6回

移植初回〜移植終了までの変化：

【1回目移植時】
ずっとゲームをしながら両親と会話をしていた。
直腸診察で「気持ち悪い」と体を動かしていたが、移植はスムーズにできた。

【2回目移植時】
学校に行くのは嫌がるが、「ママと離れるのが嫌やねん。学校に行かないといけないのはわかってるんやけど」と自分の気持ちを話してくれた。
少し抵抗するが、移植中は体位保持できた。

【3回目移植時】
視線が合いにくかったが、徐々に目が合うようになった。
移植2回目以降、行動が落ち着いてきている。
立ち歩きが減少、声かけへの反応や指示の通りやすさ、自分の気持ちや希望を話すという変化が見られるようになってきた。

【4回目移植時】
ゲームを取り上げられると機嫌が悪くなる。
移植のたびにスムーズに移植ができるようになっている。

【5回目移植時】
座薬使用しないと便が出ない。

【6回目移植時】
宿題等やらないといけないことに関して意識が増した。
移植前、嫌がる様子があったが、移植が始まると落ち着く。

移植終了後の変化：

・多動傾向の増加や切り替えが悪いことがあったが、全体的には切り替えが良くなった。
・客観的に自分を見たり、自分以外にも意識が向くようになり、世界が広がったように感じた。他人の視線を意識できるようになった。物語の理解が良くなった。
・こだわりが緩和された。
・自然な会話のキャッチボールができるようになった。語彙も増え、自分の状況や気持ちの発信ができ、相手の言葉を聞けるようになってきた。
・同級生の家まで自転車で行くことに挑戦する等、活動的になった。
・将来への見通しを想像できるようになった。移植により、成長が加速された印象。