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【関連論文】腸内細菌・FMT研究まとめ(2026.10.21)

目次

・日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析

・腸内細菌由来の代謝産物イミダゾールプロピオン酸(ImP)は、脳血管内皮バリアの障害やタウタンパク質の過剰リン酸化を介して、アルツハイマー病の病態を増悪させる可能性が示された。ImPを標的とする新たな予防・治療戦略が期待される。

日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析

(タイトル)Prevalence and chronology of colibactin-associated mutational processes and their microbiome spectra in Japanese colorectal cancer.

(タイトル訳)日本人の大腸がんにおけるコリバクチン関連変異プロセスの有病率と発生時期、および関連する腸内細菌叢の構成

(概要)大腸がんの罹患率はここ数十年で上昇しており、日本を含む複数の国々では、若年者において特に顕著な増加が認められている。大腸がんの発症過程における腸内細菌叢の病因的な関与は認識されているものの、その詳細なメカニズムについては、いまだ十分に解明されていない。本研究では、宿主と腸内細菌叢の相互作用を高い解像度で解析するため、大腸がん組織の全ゲノムシーケンシング(whole-genome sequencing:WGS)およびトランスクリプトーム解析と、糞便検体のショットガンメタゲノムシーケンシングを統合的に実施した。解釈可能な人工知能(AI)を適用することで、大腸がんを腸内細菌叢の特徴に基づく4つの異なるサブタイプに分類することができた。WGS解析では、コリバクチンへの曝露と関連する特徴的な遺伝子変異のパターンSBS88およびID18が、高頻度変異を示さない患者の44.8%において、早期のクローン性イベントとして検出された。特に、これらの遺伝子変異のパターンは、1960年代以降に生まれた患者で有意に高頻度に認められた。さらに、腸内細菌叢に基づくサブタイプ分類により、各サブタイプに特有の臨床的特徴および分子生物学的特徴が明らかになった。以上の結果から、コリバクチンへの曝露は、日本人集団における大腸がんの主要なリスク因子の一つであり、介入によって低減できる可能性のある因子であることが示唆された。

(著者)Satoshi Shiba, Shinichi Yachida, Sayaka Mizutani, et al.

(所属)Department of Cancer Genome Informatics, Graduate School of Medicine, The University of Osaka, Osaka, Japan. School of Life Science and Technology, Institute of Science Tokyo, Tokyo, Japan. and numerous other research institutions.

(雑誌名)Nature Genetics volume 58, pages2211–2225 (2026).

(出版日時)2026年8月10日

DOI: https://doi.org/10.1038/s41588-026-02692-x

URL: https://www.nature.com/articles/s41588-026-02692-x

腸内細菌由来の代謝産物イミダゾールプロピオン酸(ImP)は、脳血管内皮バリアの障害やタウタンパク質の過剰リン酸化を介して、アルツハイマー病の病態を増悪させる可能性が示された。ImPを標的とする新たな予防・治療戦略が期待される。

(タイトル)Gut bacterial metabolite imidazole propionate potentiates Alzheimer’s disease pathology.

(タイトル訳)腸内細菌由来の代謝産物であるイミダゾールプロピオン酸が、アルツハイマー病の病態を増悪させる

(概要)腸内細菌叢は、アルツハイマー病および関連認知症(ADRD)に関与する代謝過程や神経血管系の機能を調節しているが、その根底にあるメカニズムは依然として不明である。本研究では、腸内細菌由来の代謝産物であるイミダゾールプロピオン酸(imidazole propionate:ImP)が、ADRDの病態を修飾する因子であることを明らかにした。認知機能が正常な成人1,196人を対象としたコホート研究では、血漿中ImP濃度が高いほど、認知機能の前臨床段階におけるスコアが低く、ADRDに関連するバイオマーカーにも関連が認められた。この関連は、横断的解析と縦断的解析の両方で確認された。糞便メタゲノム解析では、ImPを産生すると推定される細菌と、ADRDに関連する表現型との関連が示された。また、ゲノムワイドな統合解析により、ヒトにおいて血漿中ImP濃度とアルツハイマー病(AD)の発症リスクの両方に関連する12番染色体上の遺伝子座が特定された。この結果は、ImPの調節に宿主の遺伝的要因が関与すること、ならびにImPがADに因果的な役割を果たす可能性を支持するものである。マウスを用いた実験では、ImPの慢性的な投与によって、アルツハイマー病に類似した病理学的変化が増悪した。さらに、ImPは脳血管内皮バリアの機能を障害するとともに、初代培養神経細胞においてタウタンパク質の過剰リン酸化を促進した。この作用は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βを阻害することで抑制された。以上の結果から、本研究はImPと神経変性疾患の主要な病理学的特徴との関連を示しており、ImPを標的とすることが、ADRDの発症リスクや病態を修飾するための新たな戦略となる可能性を示唆している。

(著者)Vemuganti, V., Kang, J.W., Zhang, Q. et al.

(所属)Department of Bacteriology, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI, USA. Wisconsin Alzheimer’s Disease Research Center, School of Medicine and Public Health, University of Wisconsin-Madison, Madison, WI, USA. and numerous other research institutions. and numerous other research institutions.

(雑誌名)Nature Communications volume 17, Article number: 8017 (2026).

(出版日時)2026年6月26日

DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-026-74744-z

URL: https://www.nature.com/articles/s41467-026-74744-z

ここで紹介した論文は、腸内細菌やその代謝産物と疾患との関係を調べた研究であり、FMTの治療効果を検証したものではありません。当研究会では、FMTに関する臨床研究を通じて、安全性と有効性の検証に取り組んでいます。

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