自閉スペクトラム症 2歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 2歳男児 自閉スペクトラム症
要約
自閉スペクトラム症(ASD)に対する糞便微生物叢移植。移植後、癇癪軽減。
基本情報
| 患者様: | 2歳男児 |
| 主治医: | ルークス芦屋クリニック |
| 移植担当医療機関: | ルークス芦屋クリニック |
初診時情報
| 病名: | 自閉スペクトラム症 |
| 移植目的: | 疾患の改善 |
| 主訴: | 癇癪等 |
| 既往歴: | なし |
| 経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | サプリメント等 |
移植情報
| 移植期間: | 2023/8/5~2023/9/15 |
| 移植回数: | 移植6回 |
| 移植初回〜移植終了までの変化: |
| 【1回目移植時】 スタッフが近づくと泣き、涙を流す。 心理室に入ると、おもちゃに興味が湧いた様子で大人しく過ごしている。 看護師への警戒心が強い。寝起きのために機嫌が悪く「いやー」と声を出している。 【2回目移植時】 来院時も機嫌よく、自ら待合室のソファに座り、その後は処置室前まで自ら歩いてくる。 バイタルサイン測定は困難で、体温のみ非接触の体温計で測定できる。 処置室へは親に抱っこされて入室。泣いているため腹鳴の聴取困難。 移植中は泣きながら実施。 (親御さんより) いつもの寝起きは30分くらい機嫌が悪いが、移植後の3日間は寝起きが良く、ニコニコしていた。 保育園でもニコニコしている。本日は悪い夢を見たため泣きながら起きてきた。 移植日は排便なかったが、移植翌日には、祖母の家にて大量の排便があった。普段は自宅以外では排便できなかった。 【3回目移植時】 両親と一緒に泣きながら来院。機嫌は悪いが別の部屋に入ると落ち着き、YouTubeを見ている。 移植時、激しく抵抗あり。 前回、移植2時間後に排便があったものの、菌液様のものはなかった。 移植によるものか、味覚の変化あり。 食欲あり、NanoGAS®水はよく飲んでいる。 【4回目移植時】 処置室への抵抗は継続。 来院直後から泣き声を出している。待合室にて、おやつを食べながら動画を視聴すると泣き止む。 目は合う。親に抱っこされて入室。親から離れようとしない動作あり。 移植時は看護師が抑えながら実施するが、泣きながらも体はじっとしている。 体位変換時は、親の元へ行きたそうにするため、抑えながら実施する。 泣いているため、腹鳴の聴取は不可。別室に移動し、おやつを食べて泣き止む。 食の好みの変化がある。かぼちゃは好んで食べていたが、食べなくなったとのこと。 さつまいもは好きで、プロバイオティクスは一緒に食べている。 肉を食べるようになったが、魚の方がよく食べる。 NanoGAS®水は200〜300ml /日飲水している。 【5回目移植時】 いつもに比べ、おとなしい。「イヤイヤ」と言うが、親に抱かれて動画を見ている。 移植時も、泣きはするが抵抗は少しのみ。 移植後、処置室から出るとすぐに泣き止む。 一週間前から発熱・下痢(1回/日)が始まる。 近医にてラックB・ビオフェルミン・タンニン酸アルブミン・アセトアミノフェン内服。 2日前に発疹あり。突発性発疹だったため、以後内服せず。 昨日から少し体調が戻ってきた。この期間、機嫌が悪く、癇癪が続いた。 食事量が半分に減ったが、今は8〜9割まで戻っている。 【6回目移植時】 解熱後1週間程度で良い便になった。 本日は排便なし。 食欲も戻って、これまでの倍くらい食べてる。偏食はましになり、色々なお菓子を食べるようになった。 待合室では静かに動画を視聴しているが、処置室に向かうと泣き始め、泣きながら移植する。 移植時、泣きはするが体動なく、移植後の体位交換もスムーズに行える。 これまでの移植に比べ、かなりスムーズに移植を終えた。 【移植6回目8ヵ月後フォロー診察】 両親と来院。 母親に抱っこされている。診察室内では静かに過ごしている。 バイタル測定を試みるが、嫌がり、非接触性体温計で体温測定のみできる。視線は合う。 人の顔色を見るようになった。人に関心が出てきた。 新しい保育園に変わり、やっと慣れてきた感じがある。 友人が公園に行く時、自分もついて行った。 周囲の世界を理解して行動できるようになった。空気が読めるようになった。 食事はこれまで通り、甘いものは決まったものを食べている。 テーブルできちんと食べる。 保育園での給食は、ふりかけを持参するとおかずも一緒に食べられる。 睡眠の質:最近、夜間に目覚める。その後数時間眠れないが、週1回程度。 手がつけられない癇癪はなくなった。 言葉の理解度は上がっている。 そろそろトイレトレーニングをしないといけないと思っている。 切り替えが難しい。やめさせようとすると難しい。渋々やめる。 「いや」以外の発語はまだ。 移植の効果は実感している。 発語に関しては、今のところ効果はなしか。 |
腸内フローラバランス 比較データ

評価・考察
| 移植評価: | 症状の軽度改善 |
| 有害事象の有無: | なし |
| 移植評価: |
| 自閉スペクトラム症(ASD)症状の軽度改善(癇癪症状、食べられる食材の増加等)。 |
以上