自閉スペクトラム症 6歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 6歳男児 自閉スペクトラム症
要約
自閉スペクトラム症(ASD)に対して糞便微生物叢移植を行った症例。なんでも口に入れていたが移植開始直後よりしなくなり、我慢ができる場面が増えた。人の所有物という概念が形成され、親子間のコミュニケーションが円滑になった。移植の効果であると考えられる症例である。
基本情報
| 患者様: | 6歳男児 |
| 主治医: | 城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科 神戸三宮 (旧:ルークス芦屋クリニック) |
| 移植担当医療機関: | 城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科 神戸三宮 (旧:ルークス芦屋クリニック) |
初診時情報
| 病名: | 自閉スペクトラム症 |
| 発症時期: | 2017年2月 |
| 移植目的: | 疾患の改善 |
| 主訴: | 便秘症2日か3日おきに排便。 アトピー性皮膚炎は生後3ヶ月でジュクジュクしたかさぶたを繰り返し、2歳過ぎで痒みと湿疹、皮膚の赤み。現在は骨だしスープで改善傾向。 自閉症は常同行動が多く、視線が合わない、名前を呼んでも話しかけても分からない状態だった。現在は簡単な言葉は通じるが、コミュニケーションが取れない。大人へは信頼して甘えるが、子どもには関心が乏しい。癇癪は消失。初めての場所、特に個室や診察室等に入るのを拒むが、無理矢理入ってしまえば、嫌がる素振りは無し。 |
| 既往歴: | なし |
| 経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | ・アレロックOD錠(朝夕) ・痒みのある全身に塗布薬:レスタミン、オイラックス、アズノールを混合(朝夕) ・ヘパリン類似物質泡スプレー(朝夕) |
移植情報
| 移植期間: | 2023/8/23〜2023/9/28 |
| 移植回数: | 移植6回 |
| 移植初回〜移植終了までの変化: |
| 【1回目移植時】 言葉の理解はある程度できるが、発語はあまりなく、自発的に人を呼ぶことはない。 “おかあさんといっしょ”の音楽ははっきり歌えるが、歌詞の意味は理解できていない。 1回目移植問診時は、発語なし。無表情。腹鳴弱め。 移植直後、菌液少量排出あり、20分後の起立時にも菌液少量排出あり。移植はスムーズに実施できた。 移植後の体位交換時、突然笑う動作あり。自宅でもあるとのこと。 【2回目移植時】 移植1回目の翌日朝より全身に発疹あり。翌々日には消失していた。痒みはなし。 移植後、便がType 4になった。 【3回目移植時】 移植3回目カテーテル挿入時、嫌そうな声をあげたが、指示に従いスムーズに移植ができた。 時折目が合う。移植で便の状態の変化を感じた様子。 【4回目移植時】 無表情だが、時折ニヤッと笑う仕草があった。 指示には従い移植スムーズだった。母親曰く、なんとなく発語が少なくなった。 以前は手マイクすると話してくれた。目はよく会うようになった。 公園に行くと、母親を探してくれるようになり、こんなことは初めてとのこと。 遊んでいる途中にトイレ行く時も教えてくれるようになった。 【5回目移植時】 5回目移植後体位交換時、排尿あり。 「あっ、あっ」と発語あり。 今までは恥ずかしいという感覚はなかったが、今回は発語あり何か思いがありそうな様子だった。 【6回目移植時】 移植4回目以降、移植6回目まで腹鳴良好で機嫌も良く、視線が合う機会が増えた。 |
| 移植終了後の変化: |
| ・視線は合わないが、じっと座って診察受けている。時々、視線合う。 ・以前よりクールな印象に変わった。無駄に声漏れがなくなった。思い出し笑いでケラケラ笑う。 ・原始反射的に口になんでも入れていたのが消失した。 ・元々から衝動性があるが落ち着きはじめた。 ・街中で急に走り出すこと、手を繋いでくることはなかったが、散歩中ずっと手を繋ごうとしてくるようになった。 ・人見知りが出てきた。 ・待てるようになった。これらの変化から、これまで家族(特に母親)の負担が大きかったが、移植で軽減された。 ・便秘傾向あり。移植6回目以降は隔日で出ている。 ・18週の問診では、目は合わないが、こちらからの声かけに対し、スムーズに処置が行えた。 ・前回はクールな印象だったが、個性の方が前面に出て、嫌がることが多くなった。 ・他の子への興味が出てきた。なんとかコミュニケーション取ろうとしているのが分かる。父親も変化を感じており、学校の先生からも「ニコニコとした笑顔が増えた」と指摘され、移植で成長が後押しされた印象。 ・移植後はしばらく臭いのきつい大人の便のようだったが、30週経過後は子ども本来のうんちになった。匂いは気にならない。ソーセージみたいな便が出ている。 ・ひとりぼっちの時、疎外感を感じるようになった。泣き方が子どもらしい。 ・告別式があったが、声漏れなく過ごせていた。聴覚優位で、雅楽の音を嫌がって逃げてしまった。 ・今年は霜焼けができなかった。 ・30週問診時の表情穏やかだった。 ・ゲイズファインダー測定時、女性の顔が大きく出ると必ず目を逸らしていた。体の動きがあるため母親と一緒に膝の上で座りながら測定する。バイタル測定がスムーズ。血圧測定気になるがじっとできていた。 |
腸内フローラバランス 比較データ

評価・考察
| 移植総評・考察: |
| 移植前は他者への関心、愛着に乏しかったが、移植後は母親に対する愛着が増し、スキンシップが増えた。また、部屋に一人でいても怖がらなかったが、移植後は周囲の状況が理解できるようになり、一人だと寂しがるようになった。 移植処置により自我が芽生え、他者との違いを認識できるようになったのではないかと考えられる。 |
以上
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