過敏性腸症候群(下痢型)40代男性-糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 40代男性 過敏性腸症候群(下痢型)
要約
10代から脂肪肝を指摘され、20代の頃より慢性下痢と腸内にガスが溜まるような症状が続く。30代で大腸内視鏡検査で大腸ポリープが見つかり切除。
2018年4月、かわい内科クリニックにて大腸内視鏡検査受け、回腸末端部に炎症所見あり。5月、胃内視鏡検査にて萎縮性胃炎、ピロリ菌陽性の結果となったため除菌治療を施行。その後糞便移植を開始、移植終了後下痢や腸内にガスが溜まるような症状は改善されている。
基本情報
患者様: | 40代 男性 |
主治医: | かわい内科クリニック |
移植担当医療機関: | かわい内科クリニック |
初診時情報
病名: | 過敏性腸症候群(下痢型) |
発症時: | 20歳代半ば |
移植目的: | 下痢 |
主訴: | 慢性下痢 |
服薬中の薬: | なし |
既往歴: | 大腸ポリープ 萎縮性胃炎(ピロリ菌陽性) |
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | 心臓病(母) |
移植情報
移植期間: | 2018年5月22日〜2018年10月30日 |
移植回数: | 6回 |
移植初回〜移植終了までの変化: |
【1回目移植時問診】 42歳までベトナムにいたが、日本に帰ってから下痢は悪化の傾向。腹痛はない。 5/1よりマーズレン、グリマック、ビオフェルミン開始して腹部違和感、ガスが減った感じだったが、この2日はガス溜まっている。5/8よりボノサップにてピロリ除菌を開始、ボノサップ内服中は週3日下痢続いていた。除菌終了し、5/16より診療補助水開始している。 【2回目移植時問診】 【3回目移植時問診】 【4回目移植時問診】 【5回目移植時問診】 【6回目移植時問診】 |
移植終了後の変化: |
移植後、一週間ぐらいから効果が実感できた。 |
評価・考察
移植評価: | 症状の中程度の改善 |
移植前後フローラバランス検査の変化: | [移植前]2018年5月実施 機能性ディスペプシアの疑いがあるようなフローラバランスのように見受けられます。ビフィズス菌の比率は理想的ではありますが、免疫を司るクロストリジウム属の多様性がほとんど見受けられません。 [移植中]2018年6月実施 [移植後]2018年12月実施 |
血液検査の変化: | データなし |
POMS2スコア変化: | データなし |
<腸内フローラバランス 移植前後比較データ>
本人の体感(アンケートより): |
2018年6月取得 移植後、腸内にガスが溜りにくくなり、効果を実感しました。ただ、移植終了時より期間が空くに連れ、実感が薄れてきたようにも感じます。食事では摂取量を管理してヨーグルトを毎日食すよう心掛けています。 |
有害事象の有無: |
なし |
移植総評・考察: |
長期にわたる症状について、ここ最近もベースにあるストレスの影響は常に受けつつも、移植によりフローラが変化し、症状改善につながった症例。 |
以上
こちらの症例は、第3回総会にて発表いたしました。
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