腸内フローラ移植・症例紹介

アトピー性皮膚炎 4歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介

症例紹介 4歳男児 アトピー性皮膚炎(経過観察中)

要約

食物過敏性とかゆみで乾燥性の皮膚が全身にあった。移植後、かゆみが一時期ひどくなったが最終6回目以降かゆみの程度がよくなり8回目移植の時は診察時体を掻くこともなく皮疹もましになったいた。
乳酸菌を復活させることで、腸壁の修復や腸内環境をよくしてミトコンドリア機能の改善がはかられ、過敏症の改善につながればと期待されている。

基本情報

患者様: 4歳 男児
主治医: はるなクリニック
移植担当医療機関: はるなクリニック

初診時情報

病名: アトピー性皮膚炎・食物過敏
発症時期: 0歳
移植目的: アレルギー(対象;ほとんどの食品)
肌トラブル
その他(アトピー性皮膚炎、食物過敏)
主訴: 湿疹、かゆみ、食物過敏
服薬中の薬: なし
既往歴: てんかん
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: アルベックス、乳酸菌、ビタミンD

移植情報

移植期間: 2019年5月25日〜2019年9月28日
移植回数: 8回
移植初回〜移植終了までの変化:

6回までは特に変化はないが7回目以降皮膚が一皮むけてかゆみが多少落ち着いている。ただ、食物過敏は変わってない。

【1回目移植時問診】
全身にアトピー湿疹、かゆみあるが、機嫌は良い。
過敏性が移植でとれてほしい。
【2回目移植時問診】
かゆみが移植翌日から2日間強くなって眠れなかった。
便は数回少しずつ出たが、色・硬さともに状態は良くなっている。
【3回目移植時問診】
かゆみがきつくなっていり、かゆみで眠れないこともある。
皮膚は全体に紅斑散在
【4回目移植時問診】
かゆみや皮膚の状態は変わらない
【5回目移植時問診】
少しずつ治ってきているが診察中も絶えず体を掻いていた。
【6回目移植時問診】
皮膚の状態は変わらず乾燥性の皮疹が散在。常に顔や頭を掻いている。
過敏性は変わらず、だんだんひどくなっている感じがするとのこと。
【7回目移植時問診】
6回目の移植の少し後にひどい胃腸かぜにかかる。
全身真っ赤になり皮が何回もむけて皮膚の状態は少し良くなったが、腸の過敏性は変わらず。
かゆみの程度も少し良くなり、眠れるようになってきた。
【8回目移植時問診】
かゆみの程度がよくなった。
皮膚の乾燥の状態もよくなり、きれいな部分が増えている。
しかし、まだステロイドは塗っている。

移植終了後の変化:
かゆみが若干まし

評価・考察

移植評価: 症状の軽度改善
移植前後フローラバランス検査の変化: 検査結果待ち
血液検査の変化:

好酸球・IgEが増えている
亜鉛と銅のバランスはとれてきている

POMS2スコア変化: 実施してない

<腸内フローラバランス 移植前データ>

<腸内フローラバランス 移植後データ>

結果待ち

 

本人の体感(アンケートより):
あまり実感としてはよくなった感じはなかったが7回目の移植後少しかゆみがましになった感じはする。食物過敏性は変わらない。
有害事象の有無:
なし
移植総評・考察:
移植により徐々にアトピーの程度は良くなっているが、食物過敏性は変わっていない。移植した菌液を育てながら今後は追加移植も考慮中。

以上


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