自閉スペクトラム症　6歳男児 -糞便微生物叢移植症例紹介

2024年08月28日
ルークス芦屋クリニック自閉スペクトラム症

症例紹介　6歳男児自閉スペクトラム症

要約

自閉スペクトラム症に対して糞便微生物叢移植を行った症例。移植後より癇癪、偏食が軽減し、学校にも馴染めるようになった。移植の効果を認めた症例。

基本情報

患者様：	6歳男児
主治医：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）
移植担当医療機関：	城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科神戸三宮（旧：ルークス芦屋クリニック）

初診時情報

病名：	自閉スペクトラム症
発症時期：	2019年9月
移植目的：	疾患の改善
主訴：	以前は癇癪、便秘、偏食、多動、発語遅延、指示が通らない、集団活動へ参加することが困難等があった。現在は、便秘と偏食が主訴。発語は3語文程度で簡単な指示への理解を示す程度。集団活動には気分によって参加できている。
既往歴：	鼻炎：去痰薬など服用。現在は小康にて服用していない。
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など：	サプリメント等

移植情報

移植期間：	2023/5/15〜2023/6/19
移植回数：	移植6回

移植初回〜移植終了までの変化：

【1回目移植時】
来院時は基本的に機嫌良く、挨拶もできている。
Gazefinderの測定・バイタル測定に対し拒絶の意思があり時間を要した。
また、移植時に痛みを訴え、移植の体位保持に対して拒否があり、大人が抑える必要があった。

【2回目移植時】
元気よくあいさつして来院。
バイタル測定はスムーズにできたが、移植時の体位保持を嫌がる。
痛みにより体を硬直させ、泣きながら移植を終了する。
移植後の体位変換は、動画で誘導しながら2周するが、菌液が少量出てきた。

【3回目移植時】
移植前、移植時の体位保持を練習できるが、本番は嫌がり、体位を固定して行う。
痛いと言って泣いている。
移植後は、体位変換を促し、なんとか1周できる。
移植の変化はまだ感じていない様子。

【4回目移植時】
移植にて、ご両親は変化を感じている様子。
・いつも嫌がっていたトイレで尿ができた。
・練習を嫌がっていた運動会に参加できた。
・人混みの苦手意識が軽減した様子。
・運動会の後眠くなっていたが、切り替えて午後からの療育に行き先生から「集中していた」と言われた。

【5回目移植時】
ご両親から見ても今週は調子が良いとのこと。
表情が明るい。

【6回目移植時】
移植時の体位保持を嫌がるが、今までと比べるとできている。
移植後の体位変換を初めてベット上で行える。
移植終了時、自分から「先生、ありがとうございました。」という。
ご両親は移植によるさまざまな変化を感じている様子。

移植終了後の変化：

・「覚えている」と言い、スムーズにバイタルサイン測定ができる様になった。
・Gazefinderは展開を覚えてしまい、フライング気味に次の場面の様子を言い、キョロキョロしながら行ったため何度か取り直しとなったが、最後は父に抱かれながら測定した。
・元気に挨拶ができ、また指示の理解度が上がった。目が合う機会が増えた。
・毎日、自然に排便できる様になった。