腸内フローラ移植・症例紹介

糞便微生物叢移植 症例紹介|自閉スペクトラム症・6歳男児

症例紹介 6歳男児 自閉スペクトラム症

基本情報

患者様:6歳男児
主治医:医療法人喜和会 喜多村クリニック
移植担当医療機関:医療法人喜和会 喜多村クリニック

初診時情報

病名:自閉スペクトラム症
発症時期:2019年1月
移植目的:・疾患の改善
・イライラ、癇癪
・体質改善
主訴:人との言語を介したコミュニケーションが難しい。
衝動的で直接的な行動がある。
多動。
思い通りにならないと多少癇癪を起こす。
有意味語はあまりない。
既往歴:中耳炎:生後6ヶ月から4歳頃まで。抗生剤や抗菌剤を使用。
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など:注意欠陥/多動性障害治療剤、抗精神病薬

移植情報

移植期間:2023/07/15〜2023/08/19
移植回数:移植6回
移植初回〜移植終了までの変化:
【事前診察】
(母親より)
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミングについて
言いたいことが伝わらない、絵がうまく描けないなど、思い通りにならない時にイライラして甲高い声を出す。
気分を変えられるものを差し出すと落ち着く。
・発語について
ほとんどない。
よく出る単語は「アンパンマン」「ダダンダン」「アイク(アイスクリーム)」
・表情について
好きなこと(お絵かき、身体を動かす遊び、お料理など)をしている時は表情が良く、笑顔がある。
・対人関係、コミュニケーションについて
支援学校に両親の送迎で通学している。
言語でのコミュニケーションはとれないので、指差しやちょうだいをしたり、声掛けに手をあげたり身振り手振りで伝える。
姉が叩いたり、物を横取りしたりすると叩き返して怒る。
・自傷行為について
壁や床に頭をぶつける。
1〜2回ぶつけると気持ちがおさまる。
ものに執着するので、物を投げないように、物のない状態を作っている。
・こだわり、常同運動について
物への執着が強い。
水道、シャワーの水を浴槽いっぱいに溜める、ボタンやスイッチを見るとすぐに押したがるなど。
・便の状態について
排便は1日1回、やや軟便でオムツ使用。
排尿は声をかけると一人でできるが、尿こぼしはある。
・その他
好きなもの:アンパンマン、ダダンダン
好きな遊び:絵をかくこと、料理、高速でブランコに乗ったり、高い所に登ったり、ダイナミックに体を動かすこと。

車で4時間かけて他県より来院。
面談までは車の中で過ごし、待合室ではタッチペンでお絵描きをして待つ。
絵を描きだすと集中し、見事な絵を描いていた。

【1回目移植時問診】
外来患者が待合室にいた為、個室へ案内しバイタル測定をする。
初めに姉の血圧を測るところを見てから行った。
マンシェットが締まりだすと手を動かそうと力が入り、高めの測定値となった。
体調はこの2週間大きな変化はなかったが、一度風邪をひいたとのこと。
診察室の壁に好きなアンパンマン関係の用紙を貼って準備。
面談後に指差しをして表情が明るくなる。
オムツとズボンを脱いで母親に添い寝をしてもらう。
お尻の方が気になる様子で顔を上げているが、お尻に力が入ることなくスムーズに5cm挿入。
移植後半あたりからお尻を激しく動かし声を出して嫌がっていたが、ほどなくして終了した。
父親が上半身を抑えてくれた。
移植後はオムツとズボンを履き、ベッド上に座り、持ってきた絵本をおとなしく見ている。
移植後のバイタル測定時もおとなしかった。
父親は、「お尻に管を入れられるのに比べたら、こんなこと(バイタル測定)は、もうどうってことないと思っていると思いますよ」と話した。
母親へ今日から次回までにどのような変化があったか、持ってきてほしいと記録用紙を渡した。
玄関まで見送り、姉が手を振りながら帰られた。

【2回目移植時問診】
(母親より)
前回移植後から本日までの変化
・多動や攻撃性、癇癪の程度とタイミング
体調が悪いこともあり、今週は午後から機嫌が悪くなることがあった。
朝学校に行くまで多動は少なく、お絵描きをするなど落ち着いていた。
・発語
朝ご飯に食べている味のりが欲しいとき「のり」と伝えることができた。
「ままー」と一度呼んだ。
・表情
移植前より表情が良い。
今まで3回花火をしたが、そのうち2回は花火を見ずにパッドでお絵描きばかりしていた。
移植翌日にプールと花火をした時は、じっと花火を長い時間見ていた。
・対人関係、コミュニケーション
移植翌日にアンパンマン音頭をリズムで口ずさみながら、太鼓を叩く振りをつけて踊っていた。
初めて見る様子だった。
言葉で伝えようとする力が強くなった。
・自傷行為
ない。そういう場面はなかった。
・こだわり、常同運動
テレビのリモコンを持ち、ボリュームの上げ下げを好む点は変化なし。
昨日と今朝はテレビを見ずに過ごしている。
プールをする際に以前は敷地外に出ることがあったが、移植後は敷地外に出ることがなかった。
・便の状態
便通は普通便だったが、軟らかめ。
回数は2日に1回が、毎日へ。
臭さが和らいだ。
・その他(困っていることは何か)
衝動的なところ。
扉をドンっと打ちつける。
機嫌や訴えたいことが気に入らないと机や椅子を傾けたりする。
思いを伝えられないこと。
落ち着きがないところ。
偏食。

お絵描きパッドや折り紙、アンパンマンの本を持参し自らベッドの上に並べていた。
腸音聴取時に腹部を緊張させて抵抗あり。
父親の介助のもと、聴取した。
ベッドに母親とともに寝て、左側臥位で抱き込むようにして体位を保持した。
肛門に5cm挿入。
挿入時はお尻を引く行動があったが挿入後は激しい抵抗はない。
移植中は、母親と顔を見合わせ「あー」と声を出していた。
移植は問題なく終了した。
移植後、腸音聴取時に腹部に聴診器を当てようとすると、自ら聴診器の先を持ちお腹にあてた。
酸素飽和度の測定時は機械を見ると自ら示指を出してきた。
血圧測定をすることを伝えると、自ら腕を上げてくれるなどの協力的な動作が見られた。
上腕部での血圧測定は腕を動かすためにできず、左大腿部での測定を行った。
帰路につく際も職員が声をかけるとそちらの方を向く行動あり。

【3回目移植時問診】
(母親より)
前回移植後から本日までの様子。
・多動や攻撃性、癇癪
移植直後は、特にエネルギッシュに感じる。
多動は変わらず、元気があふれている。
思いが通らないとイライラし、壁を蹴るなどの行動が出る。
・発語
以前より言葉で伝えようとしている。
先日、かき氷の箱を指さして「かきごおり」と言った(不明瞭ではあるが)。
新しい言葉を伝えたが、わからなかった。
・表情
機嫌が良いと、とても表情が良い。
・対人関係、コミュニケーション
冷たいシャワーで遊んでいて母親に水をかけて濡らした時に、催促しなくても手を合わせて「ごめんなさい」が初めてできた。
・自傷行為
1回目移植後は頭を打ち付ける等の行為はなかった。
前回移植後、危ない行為を叱った際には頭を打ち付けていた。
・こだわり、常同運動:
テレビのリモコンを持ち、音量を上げ下げする。
聞きたいところは音量を大きくして調整する。
・便の状態
排便は毎日〜2日に1回。
においが以前よりは良い。
・その他
思いが通らないと大声を出したり、扉を閉める、椅子を倒す。
常に動いている。
なぜ良くないのか、理由を理解してほしい。
以前より頼んだことはすぐに理解してやってくれるようになった。

当院到着時にダダンダンを描いてほしいと頼んだところ覚えてくれており、自分から問診票用紙の裏に描いてくれた。
血圧測定は、父親が押さえつけていると力が入り、測定できず。
母親の膝の上でスマホの画像を見ながら行うとスムーズに測定できた。
移植時はベッドに母親と一緒に横になり体位を保持してもらう。
肛門に力が入っていたが緩んだタイミングで挿入。
抵抗も菌液の漏れもなく終了した。

【4回目移植時問診】
(母親より)
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミング
多動は変わらずであるが、多少落ち着いている時間が長くなっている気がする。
・発語
1日に1度は「マーマー」と言ってくれるようになった。
・表情
機嫌がよいときの表情は良い。
・対人関係、コミュニケーション
姉が初めて歌ったものをまねたり、歌をよく歌っている。
名前を呼んだ時の反応が以前より良い気がする。
昨日、事業所から次のような様子を伝えられた。
一人で絵を描く以外に、他の遊びをするようになっている(絵を描く時間が短くなっている)。
人の中に入り、ブロックで遊ぶ。
壁を蹴ったり、ドアの開閉を激しく動かしたり、単に刺激を求めていた感じだったが、注目してもらうためにわざとしている感じである。
・自傷行為
危険な行動をしっかり注意すると、やはり頭をぶつけてしまう。
・こだわり、常同運動
テレビのリモコンをもち、音量を上げ下げする。
・便の状態
軟らかい。それほど臭くはない。
・その他
偏食は変わらないが、食べる量が多くなってきている。
好きなものをたくさん食べる。
時々、アイスやかき氷を催促する。

移植時はベッドに母親と一緒に横になり体位を保持してもらう。
肛門に力が入っており、ゆるんだタイミングで5cm挿入した。
抵抗もなく、菌液の漏れもなく終了した。
移植後の血圧測定時にもスマホの画面を見ながら大腿部で問題なく測定できた。
機嫌よく帰宅。

【5回目移植時問診】
(母親より)
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミング
多動は変わらず、とても元気。
元気がありあまって壁をドンドンと蹴ったりする。
・発語
使える単語で伝えようとしてくれている。
鼻歌を以前より長く歌うことが多くなってきている。
食パンを見て「しょくぱんまん」、鍵を指さして「カギ」と言えた。
電気のスイッチを見て「デンキ」と言ったり、飴が欲しいときに「アメ」と、初めて言った。
今まで分かっていても言えなかった言葉が、言えるようになってきている感じがする。
・表情、対人関係、コミュニケーション
特に変化なし。
・自傷行為
怒られたと認識した時に、壁に頭を打ち付けることがある。
・こだわり、常同運動:
特になし。
・便の状態:
この1週間は便が緩めだった。
排便は1〜2日に1回。
かき氷やエアコンの影響があるかもしれない。
・その他
「ひゃー」や「わー」など、大声(奇声)を出すことが増えている。

父親と姉がズボンとオムツを脱がせて、母親と添い寝する。
3cm挿入、菌液の漏れなし。
途中で顔をパックの方に向けようとするが、声をあげたり泣いたりすることはなく終了。
表情はニコニコしているようで、「笑っているね。慣れてきたね」と家族から声掛けあり。

【6回目移植時問診】
(母親より)
前回移植からのご様子。
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミング
壁やドアをドンドンと叩いた際に注意すると、一度でやめてくれた。
・発語
飴玉のことを「アメ」と言えた。
チュッとするときに「チュ」「トゥッ」と言えている。
姉が言った「終わり」をまねして「おわり」と言えた。
ありがとうと言うと一度だけ「ありがとう」と言えた。
事業所の名称が言えた。
「マーマー」が定着しつつある。
人の真似をしてゴミ箱を「ごみばこ」と言えた。
・表情
以前よりは良い。
・対人関係、コミュニケーション
名前を呼ぶとほぼ振り向いてくれる。
・自傷行為
前回移植後からなし。
・こだわり・常同運動
 水遊び、テレビの音量は変わらず。
テレビをつけずにだいぶ過ごせるようになってきた。
・便の状態
軟らかく、においは良い。
・その他
思い通りにならないと「イッー」「ダメー」を言うようになった。

移植時は母親と添い寝してカテーテル3cm挿入。
菌液の漏れなし。
表情穏やか。
壁に貼ってあるアンパンマンのプリントを熱心に見ていた。
機嫌よく帰宅。

【6回目移植2週間後】
(母親より)
前回移植後からの様子や変化。
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミング
事業所より、衝動的な行動が減って我慢するようになったと言われた。
多動、活発に良く動き、あまり変化はない。
・発語
「おわり」「ないない」「けいたい」という言葉が出た。
事業所の名称や「ビー玉」と言えた。
・表情
以前より目が合う。
・対人関係・コミュニケーション
特になし。
・自傷行為
頭を打ち付けたり、叱られると後ろへぶつける行為は前ほどはない。
・こだわり・常同運動
テレビのボリュームを上げる。
聞きたい歌はボリュームを上げる。
・便の状態
軟らかい。
・その他
朝の父親との散歩で、手をつながずに500mほど歩けた。
最近は朝起きる時間が5時30分〜6時20分くらい。長く寝てくれている。
ハミングで歌う。(リンダリンダ、おどるポンポコリン)
「落ち着いた」「ちゃんとしてきた」「表情がしっかりしてきたね」と父方の祖母から言われた。

【6回目移植13週間後】
(母親より)
前回からの様子。
・発語
学校でよく「おまめ」と言っているとのこと。
携帯の動画を「おわり」と言えて、終わることができた。
言葉は、単語で意思を伝えてくれるようになっている。
アンパンマンのキャラクターを言える数が増えている。
・表情
とても良い。
・対人関係
単語、名称を使い意思を伝えてくれるようになった。
「バイバイ」「またね」ができるようになってきている。
・自傷行為の有無
以前ほどない。
・便の状態
トイレで排便成功。
携帯の動画の力もあるが、トイレで排便をすると理解できている。
・その他
手振り付きでアンパンマンのバナナ島の歌を鼻歌・ハミングしていた。
大きなタイコ、小さなタイコをハミングで手振り付きで踊っていた。
甘いジュース(りんごジュース)から、水を多く飲むようになってきている。
怒られている言葉や相手の表情を理解する力がついてきている。
海辺に行った時、名前を呼ぶと振り向き、「こっちおいで」というと来てくれた。
水辺や波の中に入ろうとはしなかった。

【6回目移植24週間後】
(母親より)
前回からの様子。
・多動や攻撃性、癇癪の程度、タイミング
多動はある。
強い刺激を足に入れたがる。
声が以前より大きい。
・発語について
「絵を描こう」と二語文が出た。
これが初めての二語文である。
好きなキャラクターを発音するのはまだまだだが、数が増えた。
姉が話した単語を真似して発音するようになった。
・表情
こんにちはと声をかけると、頭を下げる動作が見られる。
・対人関係について
ありがとう、ごめんなさいを催促すると、ペコリと頭を下げてくれる。
声をかけると以前よりこちらを向いて注目してくれるようになった。
してほしいことが単語や仕草でだいぶわかるようになっている。
悪いことをしたら怒られることを理解している。
自分でまずいなと思っている様子。
それが行動に出ている。
痛みがある所を「ここ」と指して、痛みのある場所を伝えることができるようになってきた。
口内炎があり、痛む場所を、口の中を指して伝えてきた。
・自傷行為の有無
注意を受けた時のみ。
・こだわりや常同運動について
2ヶ月程前から、平日はお風呂に入らないようになった。
半月前から指なめが始まった。
・便の状態
排便は介助しながらだが、自力でトイレでできるようになった。
・その他
偏食。同じものばかりを食べる。
うどん、ごはん、特定の肉料理を好む。野菜は食べない。
思いが通らないと大声を出す。ドアを叩く、蹴る。

腸内フローラバランス 比較データ

評価・考察

移植評価:症状の中程度の改善
有害事象の有無:なし
移植評価:
6歳男児、自閉スペクトラム症。
移植により以下の変化などがみられた。
してほしいことを単語・名称・しぐさを使って意思を伝えられるようになった。
悪いことをすると怒られることを理解し、自分で良くないと思っていてそれが行動に出るようになった。
痛みがあるところを「ここ」と教えてくれるようになった。
トイレで排便ができるようになった。
歌を鼻歌、ハミングするようになった。

以上

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