糞便微生物叢移植症例紹介｜自閉スペクトラム症・10歳男児

2024年11月02日
医療法人　はるなクリニック自閉スペクトラム症

症例紹介　10歳男児自閉スペクトラム症

要約

不安感がある。言葉については、ある程度理解できているが少ししか話せず、会話のキャッチボールができない。移植後、少し不安感は減り、便も薬なしで出るようになった。

基本情報

患者様：	10歳男児
主治医：	医療法人はるなクリニック
移植担当医療機関：	医療法人はるなクリニック

初診時情報

病名：	自閉スペクトラム症
発症時期：	2014年11月
移植目的：	疾患の改善
主訴：	・1歳過ぎころから偏食や言葉の遅れ、目が合わない等、クレーン現象が見られる。・1歳半ごろから他児との違いに気づき、療育センターを受診。・こだわりが強く癇癪が出るが、切り替えは早く引きずらない。現在は、簡単な言葉は話せるものの、会話のキャッチボールが難しい。こちらの言っていることはわかっている様子。・ひらがな、カタカナは読める。文字を書くこともできるが表出はなかなか難しい。
既往歴：	便秘
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など：	慢性便秘症治療薬等

移植情報

移植期間：	2023/6/24〜2023/7/29
移植回数：	移植6回

移植初回〜移植終了までの変化：

【移植前】
・1歳過ぎから目が合わない。
・1歳半頃になると他の子と比べて違いが多く、支援センターに相談。診断を受ける。
・偏食がひどい。
・言っていることは少し理解できているがコミュニケーションを取るのが難しい。
・決まった言葉や独語があり、こだわりが強く、新しい場面では不安感が強い。診察のときもかなり警戒心があり、Gazefinderには30分かかった。
・簡単な字の読み書きはできるが、意味をどれだけ理解しているかは分からない。

【1回目移植時】
かなり警戒され、体位固定に時間がかかった。シリンジで一気に注入した。

【2回目移植時】
特に変わりはないが、移植の時の抵抗の仕方が前回よりましになった。少し聞き分けが良くなったように感じた。
(ダイアリーより：移植後、トイレに行きたがり、お尻からシャーと水が出た)

【3回目移植時】
大きな変化はない。移植後トイレに行った。移植で抵抗する力は、前よりましになった。

【4回目移植時】
3回目移植以降、便はコロコロしたものから繋がって出てくるようになった。機嫌が良い。

【5回目移植時】
便通は以前よりソフトになってきた。移植も慣れたのかリラックスしてできるようになっている。
(ダイアリーより：移植直後に排便があり、コロコロ便が一気に吹き出した)

【6回目移植時】
夏休みになり、癇癪が多いが立ち直りは早くなった。移植してから便通はよくなった。基本的に機嫌は良い。

移植終了後の変化：

・夏休みに入って朝の寝起きの時のみ機嫌が悪いが、その後は機嫌よく過ごしている。便通も順調に出ている。
・9月(14週ごろ)、学校が始まるとしばらくは気分が不安定であった。10月に入って少し落ち着いてきたが、学校では少し不安定で早く寝ることを勧められた。
・興奮してなかなか寝つきにくい傾向にあるが、寝てしまえばしっかり眠れている様子。
・乗り物(特に新幹線)が好きで、本日は大阪に来ると上機嫌。
・診察ではきちんと待つことができているようになり、少し落ち着いてきているように思う。
・言葉の理解はかなりできているが、こだわりの強さは変化なし。
・便は出ているが全部できっている感じがなく少ないが、ガスが多いということはない。
・30週。落ち着いている。大阪のお母さんと一緒にコンサートに行けた。
・睡眠も落ち着いていた。風邪をひかなくなった。
・こだわりは強いがカラオケができた。やりたい意思が強くなり、積極的になってきている。
・便は毎日出ているが、コロコロ便。
・Gazefinderも落ち着いて見ることができた。

腸内フローラバランス　比較データ

評価・考察

移植総評・考察：

移植前は、警戒心と不安感がひどく多動性がみられた。移植後からは、少し聞き分けが良くなったような感じがする。待つこともできるようになり、意欲も少し出て積極的になってきたように思われる。また、下剤を飲まなくても便が出るようになっていて、免疫力が上がってきたのか風邪をひかなくなった。
症状の改善は維持できている。機嫌良く過ごせている。癇癪も減った。移植の効果を認めた症例。

以上

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