腸内フローラ移植・症例紹介

クローン病、10代男性 -糞便微生物叢移植症例紹介

症例紹介 10代男性 クローン病

要約

小腸大腸型の重症クローン病でステロイド治療中。移植前は倦怠感があったが、移植後は倦怠感がなくなり元気に過ごしている。炎症反応や便潜血等は良くなっていないが、移植してから血圧が100を切ることが多くなってきたとのこと。

基本情報

患者様:10代男性
主治医:医療法人はるなクリニック
移植担当医療機関:医療法人はるなクリニック

初診時情報

病名:クローン病
発症時期:2020年8月
移植目的:疾患・下痢症状の改善
主訴:発症時は1日8回〜10回程の水様便、38度前後の発熱、食欲不振、嘔吐があった。2020年9月から2ヶ月入院し、エレンタール、ペンタサ、ステロイド治療で一旦症状が落ち着いた。
退院後、漢方治療を併用したが、2021年1月から症状が悪くなり、再び1日6〜8回の水様便と発熱、食欲不振等があったので1月26日から再入院となった。IVHとステロイド、Gキャップ療法で寛解となった。
現在は、便回数1日1〜3回、有形便で発熱腹痛もなく、食欲もあり良好。
ステロイドをまだ1日40ミリ服用しているが、CRP値が1.06だったので、減量できていない。
既往歴:なし
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など:なし

移植情報

移植期間:2021/5/7~2021/7/2
移植回数:移植3回
移植初回〜移植終了までの変化:
【1回目移植時】
重症クローン病でステロイド内服中。先週、Gキャップ療法を10回終えたところなので体調は良い。腹痛もなく便通も良い。本日はあまり刺激をしない形で菌液をゆっくりと流した。特にトラブルもなく違和感もないとのこと。

【1回目移植後】
1回目の移植後当日は、血便・腹痛等なく菌液も出ることはなかった。翌日、軟便が2回出て、少し心配されたご様子だったが、腹痛や血便もなく元気な様子だったので一過性の反応と見て経過観察とした。移植2日後には普通便に戻り、もともと疲れやすい感じだったのが、疲れがあまり感じられず体力がついたような気がしたとのこと。

1回目の移植は順調。

【2回目移植時】
便通は安定している。腹痛もなかった。血液検査では炎症反応は下がりにくく、便潜血反応は上がっていた。食事に関しての再確認と脂溶性ビタミン、マグネシウムをエプソムソルトで摂ることを提案した。2回目移植後の腸音は聞こえるが、以前よりも乏しかった。

【3回目移植時】
2回とも移植の液は吸収されていた。元気が良く倦怠感もないが、血液検査でなかなか炎症反応が下がらない。ステロイドの副作用による骨粗鬆も進んでいるとのこと。腸内フローラバランス検査の結果を説明し、根菜類や野菜からの糖質摂取と水分を多めに摂ること等も含めて指導した。少し血圧が下がる傾向にある。移植後の腸音はあるが、あまり活発ではない。

【検査説明】
移植前と移植後の腸内フローラバランスの変化から今後の方針等を説明した。血液検査での炎症反応が上がってきているために、ステロイドが減量できないという現状の中、ステロイドの副作用で骨粗鬆症が進んできているという状態だった。排便状態や本人の体調は良好で、便潜血反応は減っている。

問診では一日あたりの水分摂取量が少ないようだったので、腸内細菌脳酵素活性を高めるためにも水分をしっかり摂るよう指導した。また、朝のコップ1杯のお水をナノガスウォーターに変えることを勧めた。今後は、検査データ等を参考にステロイドを減量していきたい。

腸内フローラバランス 比較データ

本人の体感(アンケートより):回答なし

評価・考察

移植評価:症状の軽度改善
有害事象の有無:なし

移植終了後の変化:
検査データは良くなっていないが、倦怠感がなくなり元気が出てきている。ステロイドは2回目の移植後に少し減量したが、今後の減量のタイミングは未定。3回目終了後、2~4週後を目安に腸内フローラバランス検査を実施した。

以上

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