過敏性腸症候群 80代男性 -糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 80代男性 過敏性腸症候群
要約
常時、腹部にガスが溜まり一日中圧迫感と鈍痛が続く。おならとゲップが、食前・食後に関係なく頻繁に出る。便秘状態の日が多く、少量の排便が一日で5~6回続く。毎回必ず排便後に腹痛が起きる。約1時間後に収まるが、毎日同じ状態を繰り返す。下痢をすることは少ない。以上の症状で移植を開始。
1回目の移植で、排便回数が5~6回/日から3回/日に減り、2回目の移植で2回/日まで減ったが、腹部膨満、排便後の腹痛は持続した。3回目の移植後、便回数が6回までと悪化し軟便傾向になり、腹痛・腹部膨満も持続した。その後5・6回と移植するも、便回数は6回、腹部膨満・腹痛も改善を認めなかった。
基本情報
患者様: | 80代男性 |
主治医: | 医療法人桂名会 木村病院 |
移植担当医療機関 | 医療法人桂名会 木村病院 |
初診時情報
病名: | 過敏性腸症候群 |
発症時: | 2019年3月 |
移植目的: | 疾患の改善、便秘・ガス溜まりの改善 |
主訴: | 常時、腹部にガスが溜まり一日中圧迫感と鈍痛が続く。おならとゲップが食前、食後に関係なく頻繁に出る。便秘状態の日が多く、少量の排便が一日で5~6回常時続く。毎回必ず排便後に腹痛が起きる。約1時間後に収まるが、毎日同じ状態を繰り返す。下痢をすることは少ない。朝方就寝していても腸が鳴動して鈍痛が起きる。食欲はあるが最近体重が減った。一日中腹痛が続くため、身体がきつい。大腸カメラ・胃カメラ・ペット検査を行うも異常なし。 |
既往歴: | 椎間板性ヘルニア、前立腺肥大症 |
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | 疼痛治療剤薬、整腸剤 |
移植情報
移植期間: | 2021/7/21~2021/9/1 |
移植回数: | 移植6回 |
移植初回〜移植終了までの変化: |
1回目、2回目の移植で改善傾向みられたが、以後の移植では症状の改善認められず。移植前の症状と同様であった。 【1回目移植時問診】 (患者さんより)排便回数1日5~6回。排便時に痛みがある。 腹部:腹部圧痛なし 【2回目移植時問診】 (患者さんより)便の回数が約6回から3回程度にまで減った。排便時の腹痛は変わらず。腹部膨満持続。 腹部:下腹部に軽度圧痛あり 腸音:やや亢進 【3回目移植時問診】 (患者さんより)軟便になっており、排便回数が1日2回ぐらいに減ってきている。腹部膨満感、排便後の腹痛は持続。 腹部:腹部膨満あり 腸音:やや亢進 【4回目移植時問診】 (患者さんより)軟便で便の回数が増えてきた。排便後腹痛あり。 腹部:臍下部に圧痛あり 腸音:亢進 【5回目移植時問診】 (患者さんより)排便1日6回程度は変わらず、下痢ではないが軟便あり。排便時の腹痛も前回移植後と同様。 腹部:腹部膨満あり 【6回目移植時問診】 (患者さんより)前回移植するも症状は同様で、1日6回程度の排便回数があり、下痢ではないが軟便が続いている。排便時腹痛があり、腹部膨満も同じように続いている。 腹部:下腹部にかけて軽度圧痛あり 腸音:やや亢進 |
腸内フローラバランス 比較データ
評価・考察
移植評価: | 変化なし |
有害事象の有無: | なし |
移植評価: |
1回目、2回目の移植で改善傾向みられたが、以後の移植では症状の改善認められず、移植前の症状と同様であった。 |
以上
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