自閉スペクトラム症 12歳女児 -糞便微生物叢移植症例紹介
症例紹介 12歳女児 自閉スペクトラム症
要約
自閉スペクトラム症に対して移植を行った症例。便通の改善、睡眠の質の改善、癇癪の改善等は見られたが、多動の側面や衝動性に関してはさほど変化が見られなかった。
基本情報
| 患者様: | 12歳女児 |
| 主治医: | 城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科 神戸三宮 (旧:ルークス芦屋クリニック) |
| 移植担当医療機関: | 城谷バイオウェルネスクリニック内科・矯正歯科 神戸三宮 (旧:ルークス芦屋クリニック) |
初診時情報
| 病名: | 自閉スペクトラム症 |
| 発症時期: | 6歳で診断 |
| 移植目的: | 疾患の改善 |
| 主訴: | ・自閉スペクトラム症による症状 ・ADHD(注意欠如・多動症) ・軽度知的障害 |
| 既往歴: | なし |
| 経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: | なし |
移植情報
| 移植期間: | 2023/8/30〜2023/10/4 |
| 移植回数: | 移植6回 |
| 移植初回〜移植終了までの変化: |
| 【1回目移植時】 ・着替えを嫌がった。『検査パンツが気持ち悪い。男性の前でパンツずれたら恥ずかしい』とのこと。 ・移植のことは『お尻からチクッと入れる』と聞いてきた。移植については受け入れている。 ・腹鳴弱い。本日排便なし。表情は明るく、母親とは談笑していた。 ・移植時、声かけするも体に力が入ってしまった。 ・処置はスムーズに終了する。移植後10分くらいでトイレ希望あるが、20分後、排尿のみだった。 【2回目移植時】 ・変化なし。眠りが浅く、朝起きるのに時間を要する。 ・普段は、機嫌良く過ごしており、大きな声を出している。 ・移植当日の便はコロコロだったが、前回の移植後から力まずに排便できるようになった。 ・静かに過ごしていた。移植もスムーズに終えることができた。 【3回目移植時】 ・変化なし。 ・気分高揚が見られた(休薬中のため?)。 ・夜間寝つきが悪く、眠りが浅い。 ・『他の人もこれ(移植)しているの?』、『なんで私はしてるの?』など質問が多い。 ・表情は穏やか。待ち時間にあっちむいてほいをして遊んでいた。 ・生理3日目。痛みの訴えなし。 ・直腸診時力みあるがスムーズに終了した。 【4回目移植時】 ・前回移植後、下痢が3日間続いた。以後3日間は排便がない。 ・運動会の疲れかもしれないが、夜の寝つきが良くなった。 ・機嫌は良い。クリニックのポスター見ながら、質問していた。 ・腹鳴弱いため体位交換を3周行なったが、やはり弱め。 ・直腸診察時、便が肛門近くまできていても便意がない様子。移植はスムーズにできた。 【5回目移植時】 ・前回移植日と翌日に排便あり。その後3日間なく、移植日前日と当日に排便あり。 ・腹鳴弱め。表情は穏やか。よく会話していた。移植スムーズに終了した。 【6回目移植時】 ・変化は感じていない。 ・以前より睡眠が取れているかもしれない。今週1回だけ朝の目覚めが悪い日があった。 ・学校からはテンションが高い日が多いと言われている。 ・ホラーが好きで、泣いている時にパクパクと口が動く丸いものが見えたり、深夜に声が聞こえたりする話をたくさんしていた。 ・移植はスムーズに終了した。 |
| 移植終了後の変化: |
| 【8週目時点】 ・移植で大きく変わった感じはない。 ・こだわりが強い。自分のこだわりの方法で計算をしようとする。 ・切り替えは少し早くなった印象。落ち着きがないのは変わらない。 ・朝は自分で起きてくることが増えた。朝、ぐずることがなくなった。 ・遅刻が減った。学校からは『夏休み前は午前中から眠気があったが、それがなくなった。代わりに、おしゃべりがうるさくなった。授業中は歌を歌うようになった』と報告があった。 ・TPOが読めないのは変わらない。 ・乗り物に静かに乗れるようになった(変化)。 【18週目時点】 ・集中力が出てきた。学校の授業で新聞を作ることができた。校外学習もできた。 ・学校では時間を気にするようになり、遅刻がなくなった。 ・おしゃべりは止まらない(多動の薬をやめている影響?)。授業中の歌は歌わなくなった。 ・乗り物に静かに乗れるようになった。 ・移植で良くなった部分もあるが、ADHDの症状が出ている。 ・寝つきは悪い。 【30週目時点】 ・移植後、便通の調子良くなり、維持できている。 ・腹部膨満感なし。困っていることもない。 ・癇癪はなくなった。キーキーならなくなった。 ・集中力ある時とない時の差が激しい。遅刻はない。 ・多動の側面、衝動性はまだある。ひどくはない。薬中止しているので若干目立つ部分はある。 ・笑顔あり。触ると、触った所を払いさらう動作あり。 |
腸内フローラバランス 比較データ

評価・考察
| 移植総評・考察: |
| 便通異常の改善のほか、癇癪の改善が見られた。 多動性や衝動性に関しては、さほど変化はなかった。 症状によっては効果の程度に違いがあることが推測される。 |
以上
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