腸内フローラ移植・症例紹介

自律神経失調症・副腎疲労症候群 40代女性 -糞便微生物叢移植症例紹介

症例紹介 40代女性 うつ傾向

要約

9月に膝半月板の手術をしてからうつ傾向で午前中は調子良いが昼過ぎから夕方にかけて調子が悪くなる。夜は元気になる。便通は残便感があり、すっきりしない。食欲もあまりなく、特に生理や排卵期に調子が悪くなる。眠りも浅く、手のひらに汗をかき交感神経が緊張している状態もある。

基本情報

患者様: 40代 女性
主治医: はるなクリニック
移植担当医療機関: はるなクリニック

初診時情報

病名: うつ傾向
発症時期: 2018年10月
移植目的: うつ症状(気分の落ち込み)
疲れやすい
睡眠障害
食欲不振
主訴: うつによる気分の落ち込み、過緊張、倦怠感、食欲不振
服薬中の薬: なし
既往歴: 2018年9月 左膝半月板の手術
経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など: 乳酸菌サプリメント、エクリオール

移植情報

移植期間: 2019年7月9日〜2019年7月30日
移植回数: 3回
移植初回〜移植終了までの変化:

1回目終了から眠りが深くなり、少し空腹感が出てきた。調子の悪さも少し改善されてきている。2回目、3回目と食欲が出てきてぐっすり眠れるようになってきた。

【1回目移植時問診】
午前中は調子が良いが、昼過ぎから夕方までが倦怠感が強くなり、夜になると元気になってくる。
便通は毎日出るが残便感あり、おなかが張っている感じがする。
【2回目移植時問診】
感情的には大きくは変わりはない。
移植後に菌液が出ることなく翌日に普通便が出た。
【3回目移植時問診】
便通は良くなってきている。
少し気分的によくなってきた感じがする。
睡眠は熟睡できるようになった。
【移植3か月後問診】
移植をして気分の変調はましになり食欲は出てきている。
睡眠も熟睡感あり眠れている。
生理や排卵の時の不調があるので、今後どうするか検討中。


移植終了後の変化:
食欲は出てきて気力も完全ではないけれども出てきている。
生理や排卵の時の不調はあるので今後どうするか検討中とのこと。

評価・考察

移植評価: 症状の中程度の改善
移植前後フローラバランス検査の変化: ブラウティアの減少があり、炎症免疫過剰の状態が改善してきている。また、多様性も出てきている。
しかしクロストリジウム9の割合が多くなっていて精神面や腸内フローラの安定性に関しては、もう少し観察していることが大事かと思われる。
血液検査の変化: 特に変化はない
POMS2スコア変化: TMD50から52とあまり変わってないが、TAが20から15と改善しており不安感などは軽減していると思われる。

<腸内フローラバランス 移植前データ>

<腸内フローラバランス 移植後データ>

本人の体感(アンケートより):
食欲と睡眠がよくなって少し活気が出てきた
有害事象の有無:
なし
移植総評・考察:
1回目の移植終了から食欲、睡眠がよくなり、他に変わったことがないので移植による効果はあったものと思われる。

以上


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