腸内フローラ移植・症例紹介

自閉スペクトラム症 9歳男児 ー腸内フローラ移植症例紹介

症例紹介 9歳男児 自閉スペクトラム症

要約

多動性があるが、親の注意でおとなしくなる。スマホのゲームに夢中。
言葉はたどたどしいが単語は少し出ている。指示には反応するが本当の理解はできていない様子。また、コミュニケーション、心を通わせていることはできていない。
3回目の移植が終了して5か月後の結果説明で、以前よりは落ち着いていた。椅子にもある程度座れている。
また、理解して要求の言語を発することが多くなったとのこと。オキシトシンは最近飲んでないけれども調子は良く、コロナ自粛の後の学校再開でも特にトラブルなく学校生活を送れているとのこと。
今後は移植した菌液を大事に育てていくように説明した。

基本情報

患者様: 9歳 男児
主治医: はるなクリニック
移植担当医療機関: はるなクリニック

初診時情報

病名: 自閉スペクトラム症
発症時期: 1歳半頃
移植目的: 言葉とコミュニケーションの改善
主訴: 1歳半検診で落ち着きがないと指摘された。2歳半になってもしゃべらない。その後にオキシトシンを個人輸入して服用。その後単語も増え理解もある程度できるようになった。しかし。コミュニケーションやその場の雰囲気の理解などができない。オウム返し。
服薬中の薬: オキシトシン
既往歴:

特になし

経緯、家族歴、生活習慣、サプリメントの利用状況など:
母親に、以前アマルガム(歯科用水銀アマルガム)が入っていた可能性あり。歯科治療痕あり。
本人も虫歯治療、歯科治療あり。
食事はなるべく添加物に気を付けているが、特にグルテンカゼインフリーはしてない。甘いものも極力あげないようにしているが、飴やラムネはあげている。

移植情報

移植期間: 2020年1月11日〜2020年1月25日
移植回数: 3回
移植初回〜移植終了までの変化:

移植3回実施

【1回目移植時問診】

自閉症でパニックを起こすことはなく、おとなしかった。
指示には反応するが意味が分かってないようで、言葉はほとんど出ない。
食事内容に関して、なるべく添加物の入ってないものを気を付けているがグルテンカゼインフリーや砂糖の中止はしていない。
母親にはアマルガム除去の既往、本人も歯科治療で詰め物あり。

【2回目移植時問診】

1回目の移植後、菌液の排出はなく機嫌も悪くなかった。
オウム返しばかりだったのが意味が分かって答えるようになった。
便通も少し良くなった。
お母さんは食事の工夫を積極的にしてくれている。

【3回目移植時問診】

症状の変わりはない。
菌液はすべて吸収されている。

【検査説明時問診】

3回目の移植終了後から、移植後のフローラバランス検査の結果説明。(最終)
3回移植をしてしばらく経っているが、物の理解や考えて行動することが多くなったとのこと。
また、コロナの影響で自宅待機後、学校の学年もかわり環境が変わって心配だったが、周りの環境にもなじめて特に学校でも問題はなかった。
移植したフローラとともに体の修復をするように働いているので、それを応援するように食事の仕方やフィッシュオイルやCBDコリン、B、DKなどのサプリメントをお勧めした。

移植終了後の変化:

移植直後は大きな変化はなかったけれども、少なくとも悪くはなってない。オウム返しが減っている。
少し理解も増えたかもしれない。
最終移植後5か月では、理解力も増えて自分から考えて行動や発言をすることも増えてきたとのことです。
ある程度、周りとの協調もできるようす。

評価・考察

移植評価: 症状の軽度改善
移植前後フローラバランス検査の変化:
移植前のフローラバランスから見て、メンタル面での安定性に欠いている可能性があった。
移植後は移植前と比べ、多様性は問題なく検出されている。お母様のお食事への努力がうかがえる。
バランスが入れ替わったようになっていることもあり、治ろうとしているがもうひと押しが足りないために本人は変化に戸惑っているのではないかと考える。
理想を言うともう少し長期間で追加移植などをしていくと、落ち着いてくるのではないかと考える。
血液検査の変化: コメントなし
POMS2スコア変化: 検査なし

<腸内フローラバランス 1回目データ>

<腸内フローラバランス 2回目データ>

本人の体感(アンケートより):
アンケート回答なし
有害事象の有無:
なし
移植総評・考察:

ある程度の理解や便通の改善はあったと思われるが、短期間なので今後の移植した菌を育てることが大事だと思われる。

以上


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